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誠司「・・・」
A「・・・」
何も、話さない。 静かに歩くだけ。
話したいのに言葉が出てこない、と言った方が合っているのかもしれない。
コンビニに行こう、と言ったくせに、向かったのは近くの公園。
「キィっ、、」
誠司がブランコに座るから、私も隣のブランコに座る。
ブランコの錆びついた金属音が、今日はやけに気になった。
誠司「・・・急に呼んで、ごめん。」
A「・・・暇しとったから、大丈夫。それに、私に友達居らんの知っとるやろ?(笑)」
誠司「そう、やったな(笑)。」
やっと、話せた。 やっと、笑顔が見れた。
それで私は、本当に話したいことを話し出す、勇気が湧いた。
A「・・・なぁ、聞いてもええ?・・・何で、避けるん?」
誠司「・・・ごめん、」
A「ごめんじゃ、何も分からへん。」
誠司「俺の、せいや。・・・あいつは、敵に回したらあかん奴や。」
そう言う誠司の目は、あの子と同じような鋭さを持っていた。 でも、瞳の中には色があった。
私には、ちゃんとその色が見えた。
そして話は、一歩ずつ核心に近づいていく。
誠司「・・・あいつは、俺と“政略結婚”って名前で、無理やり結婚しようとしとるみたいや。」
A「政略、結婚、、」
やっぱり、お嬢さまだった。
父親の権力を使って誠司に近づき、あわよくば結婚してしまおう、という金持ち特有の作戦。
そのことに、鈍感ながらも気づいた誠司が反発すると、あの子は私のことを棚に上げたらしい。
誠司「・・・お前に、何かあっても知らないからね、って言われた。」
A「それ、私も言われた。家に、来たときに。」
誠司「なるべくお前を巻き込みたくなかった。それで、わざと避けた。」
A「・・・寂しかった。」
誠司「・・・」
理由を知った私は、なぜか素直な気持ちがぽろぽろと出てきた。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時