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私はその日、誕生日だった。
先輩「Aちゃん、誕生日おめでとーっ!」
A「ありがとうございます!」
もうすっかり仲良くなった先輩に、美味しい店に連れてってもらった。
仲良くなった背景には、野球がある。
あの日以来、何度か一緒に野球を見に行く機会があった。
それを重ねるごとに、どんどん仲良くなっていった、ってわけ。
そんな先輩から、プレゼントが。
A「これ、、」
先輩「どう?初のユニフォームは(笑)。」
大きな、大きな、背番号22のユニフォーム。
先輩「今度見に行く時は、それ着て行こう!(笑)」
A「、、はいっ!ほんまにありがとうございますっ。」
嬉しくて、
嬉しくて、
試合を見に行くのが楽しみになった。
けど、あの日以来、誠司と目が合うことはない。
試合には出ているものの、私が一方的に見ているだけ。
まあ、しょうがないよね。
あんなにいっぱい人いるんだし。
時々、あの日見たことは夢だったんじゃないか、って思う。
家に帰ってきてから、母のメールに気がついた。
母『誕生日おめでとう!プレゼント、今度帰って来るときまでに考えといてや。』
プレゼント、か。
なんて考えてると、また母からメールが届いた。
母『そういえば、さっき花束がA宛てに届いたんやで。名前が書いとらんのやけど。』
名無しの花束が届いた、という内容に少し驚いた。
誰からだろう、ってすごく気になった。
だから、一緒に入っていたというメッセージも写真に撮って送ってもらうことにした。
母『(写真)これ。誰か分かった?』
A「・・・何で、、」
写真に写ったメッセージ。
『誕生日、おめでとう。
無理せん程度に、頑張れや。』
名前が書いてないことくらい、誰でも分かる。
けど、
このメッセージの差出人は、私にしか分からない。
書かれていない、見えない名前が見えたのは、私しかいない。
A「・・・名前なくても、、バレバレやな、」
忘れられてなかったことが、嬉しかった。
心配してくれたことが、嬉しかった。
応援してくれたことが、嬉しかった。
バレバレなとこが、誠司らしいな、って思った。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時