甘いと苦いの、その間。｛Ren｝ ~second~ (ページ10)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:66,653 hit

55 ページ10

・
・
・

　

これは、本物だ。

というか、いつ結婚したっけ？

　

大学に進学して

年末の実家の集まりに行かなくなってから

従兄も含めた親戚全員と会ってない私。

そりゃ結婚してたのも知らない訳だ、と

自分で勝手に納得する。

それにしてもどうしようか。

従兄に連絡取るべき？

それとも、1回親に確認してみる？

そんな事よりも

私、返事の出し方分かんないんだけど。

　

A「どうしよう、、、あ、そうだ。」

　

困った時は、優香。

そう思って

スマホを拾い上げた瞬間

着信音が鳴ると共に、スマホが震えた。

ナイスタイミング！って方にしか考えがいかなくて

誰からの電話か確認しないまま

表示された緑の丸をタップした。

　

A「あ、もしもし？」

『もしもーし。』

A「、、、」

『あれ？もしもーし、、、え、これ繋がっとる？」

A「あ、つ、繋がってます！、、、永瀬さん？」

『おぉよかった(笑)。久しぶりやな、Aちゃん。』

　

“Aちゃん”

本当に久しぶりの響きに

私の口角は何もしなくても緩み出す。

いつになく

“会いたい”という欲望が口から飛び出そうになった。

　

A「お久しぶりです。お仕事、忙しかったんですか？」

『そうなんよ。でも、ここ数週間はほんまに忙しすぎて、スマホいじる暇もなかってん。』

A「やっぱり。連絡こないなぁ、って思ってましたもん。」

『、、もしかして、ライン待ってくれとったん？』

A「はい。ちょっと心配してました。」

『Aちゃん、』

A「もしかしたら、家の中で死んでるんじゃないかなって。」

『ブッ、、、急にそんな縁起の悪い冗談やめてや、(笑)』

A「ふふ、、すみません(笑)。でも、心配してたのは本当ですよ？」

　

1回永瀬さんを笑かしてみたら

張り詰めていた緊張感と疲れが

バカみたいに消え去った。

　

永瀬さんの声は

ある意味、私の疲れをとる特効薬なのかもしれない。

　

　

　

・
・
・