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紫耀「、、っはあ、(ドスっ)」
A「、、、疲れた、」
紫耀「Aちゃんごめん、、めっちゃ走らせちゃって、」
A「いえ、、、間に合って、良かった、(笑)」
ドームの中に入ると
どうやらお客さんは、私たち2人だけ。
上映開始まであと1分、というスタッフさんの言葉。
私たちが走ってきた理由も
平野さんが咄嗟に私の手を握った理由も
全てそれにあるように思えた。
A「平野さん、プラネタリウム初めてですか？」
紫耀「え？、、うん、そうだけど、」
A「、、、実は私も初めてなんです、プラネタリウム。」
紫耀「え、だってあの時行きたいって言って＿＿＿」
A「やっぱり覚えてたんですね、(笑)」
私の言葉で自分の失言に気づいたのか
平野さんは慌てて口を手で抑える。
けど
1度出てしまった言葉は、もう記憶から消える事はない。
嬉しい感情と、不思議って感情と、変に心苦しい感情が交錯する記憶など
きっとこれ以外に見つからないだろうから。
紫耀「、、ずっと考えてた。」
A「何をですか？」
紫耀「Aちゃんの事。会えなくなってからも、ずっと。」
ドームだからか
彼の声の響きがこの場に強く残った気がした。
するとタイミングが良いのか悪いのか
始まりを告げるように少しずつ照明が落ち始める。
高まるドキドキとワクワクが重なり合って
感情がなぜか渋滞を起こし始めた
その時
思わず、自分の耳を疑った。
「＿＿＿好き。」
反射的に、というか
本能的に、というか
その声の主の方にパッと顔を向けると
もやっとした薄暗がりの中でも
穏やかな瞳で愛おしそうにこっちを見つめる平野さんだけは
ぼやける事はなかった。
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作者名：Tsumu | 作成日時：2020年9月23日 20時
