甘いと苦いの、その間。｛Ren｝ ~second~ (ページ35)

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とある日の昼下がり。

　

A「、、最悪、」

　

そう呟いた声は

無数の雨音によって静かに消えていった。

　

　

数十分前。

　

A『ねぇ、私のサンドイッチは？』

優香『え、あれAのだったの？どうりで美味しいと思った。』

A『は、はい？』

優香『あれならさっき食べちゃったよ(笑)。』

　

私の昼食が呆気なく食べられてしまったためにコンビニを訪れ

昼食を買い終えて帰路についた

ほんの数十秒後に降り出した雨。

それはまるで

気持ちが晴れる気配のない、誰かの心模様のように

やみそうにない代わりに

人の同情を誘う雰囲気を持っていた。

　

A「、、、走れば1分、」

　

脚力に自信がある訳ないけど

私のケーキを楽しみにしてくれているお客様を待たせる訳にもいかず

スマホをポケットの奥底まで突っ込むと

数メートル先も危うい世界に、1歩踏み出した。

　

走り始めて30秒弱。

あと少し

もう少し

そう思った矢先

　

「バサバサッ、！」

A「うわっ、、(ドサッ)」

　

たぶん鳥だったと思う。

それが突如、私を目掛けて飛び立った。

　

おかげで私はお尻から水たまりにドボン。

　

さあ、どうしよう。

既にずぶ濡れの上半身に加えて

まだ無事だった下半身すらもあっという間にずぶ濡れに。

　

こうなるんだったら

変な目で見られてでも快晴の下で傘を持ち歩くべきだった、と

今さら不条理な後悔をする。

だけど、天気は私に同情する事はないらしい。

　

A「、、はは、、どうしよ、」

　

ジメジメとした空気とは裏腹に

乾いた笑いが無情に響いた

その時

　

　

「ザアァァァ＿＿＿＿＿」

　

「＿＿＿こんなとこで何してんねん、」

　

　

一見、硬くて冷たいように聞こえるけど

本当は

何も傷つける事が出来ないくらい、柔らかかった。

　

　

　

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