甘いと苦いの、その間。｛Ren｝ ~second~ (ページ28)

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A「平野さんは、、、私の1番最初のお客さん。」

　

無理やりだったけど

なんて言ったらきっと彼は怒るだろうけど

あの時に出会ったのが

少しだけ欲張りな彼じゃなければ

私はこんなに

自分のケーキを愛せていなかったかもしれない。

　

だから彼を

　

『、、、平野、さん、』

『今日、会えてよかったです。』

　

自分の中で無意識のうちに

“特別扱い”してしまっているのだと思う。

　

　

そんな奥の深い話はせずに

要点だけをまとめて言葉を連ねた。

すると

優香は思ってたよりもかなり大人しく

逆に藍梨は思ってたよりも興味津々だった。

　

藍梨「Aさん。私からも聞きたい事、1個いいですか？」

A「え？別に私に答えられる事だったらいいけど、、」

　

「、、、今でも平野さんの事、好きなんですか？」

　

　

その言葉は

私に全く遠慮する素振りはなしに

快く放たれたようだった。

　

　

A「、、、どういう、こと、？」

　

単純すぎる私の思考回路は

すんなりと藍梨の言葉を飲み込んだのはいいものの

不審な点に気づくのが特段と早かった。

　

“今でも”とは、一体どういうことなのだろうか。

彼女は

私がずっと平野さんが好きだった、と

勘違いしているのだろうか。

　

優香「私も藍梨とおんなじ事思った。」

A「え？ちょっと待って＿＿＿」

優香「あの日さ、いつもより可愛かったんだよ？A。」

　

唐突に語り始める優香。

私が可愛かった、から始まる話なんて

どう考えても私には想像できない。

　

しかし

繋がり始める彼女の話を聞いているうちに

いつの間にか

　

「平野紫耀にしか見せない顔を見てるような気がした。」

「でも不思議だったのは、」

「幸せそうなのに、寂しそうだった事。」

　

どんどん反論の余地を見失っていくしかなかった。

　

　

　

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