甘いと苦いの、その間。｛Ren｝ ~second~ (ページ18)

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63　　~永瀬side~ ページ18

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永瀬side

　

それから

俺なりに、彼女の瞳の中に入り込もうとした。

　

　

廉『、、、(ガサッ)はい。』

A『、、へ？』

廉『フッ、、、ほら、早よ受け取ってや(笑)。』

　

あの時あげた花瓶やって

めっちゃ迷った。

　

喜んでくれるかな。

鬱陶しいって思われるかな。

そんな余計な事ばっか頭に浮かんだ。

　

せやけど彼女が“ながせれん”を拒絶する事はなく

綺麗な花と一緒に飾ってくれとったから

俺はもう、分かりやすくにやけた。

　

俺はちゃんと彼女の頭に居るんやな、って

根拠も確証もないけどそう思った。

そして

それがまた、俺は嬉しかった。

　

　

せやから俺は

　

　

廉『んふふ、』

A『、、何か付いてます？』

廉『ううん。Aちゃんの横顔キレ『永瀬さん。』、ん？』

A『今そんな事言ったら私、うっかりケーキ落としますよ。』

廉『っ、、それはあかんっ！』

A『、、、ふふっ、』

　

廉『、、、Aちゃん。』

A『ん？』

廉『水が、』

A『水？、、うわぁっ！』

　

A『、、、永瀬さんの事、もっと教えてもらえませんか？』

廉『、、え？』

A『あっ、変な意味じゃないですよ？、、でも私、永瀬さんのこと全然知らないから。』

　

A『私を、永瀬さんのお友達にしてください。』

　

　

彼女に心惹かれるのも

無理はなかった。

　

　

　

　

そう気づいた矢先の出来事。

　

紫耀「、、、Aさん？」

　

聞こえたAちゃんを呼ぶ声は

他の誰でもない

1番最後に店に入った、紫耀のものやった。

　

A「、、、平野、さん、」

　

固い顔をして紫耀を見つめながら

Aちゃんがボソッと呟いた名前は

確実に紫耀の名字で

　

俺の脳が

変に大きく音を立て始める自分自身の鼓動で

気持ち悪いくらいにいっぱいになった。

　

　

　

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