甘いと苦いの、その間。｛Ren｝ ~second~ (ページ17)

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62　　~永瀬side~ ページ17

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永瀬side

　

『、、、お詫びと言ってはなんですけど、、』

廉『あ、それ、、』

『少し形が崩れてるんですけど、チーズケーキなんです。』

　

もしよかったら、食べていただけませんか？

俺はその言葉を跳ね返す術を知らへんかった。

　

甘いスイーツの匂いが漂う店内で

食べれるチーズケーキにワクワクしながら

店員さんから貰ったそれを、ゆっくり口に運んだ。

　

『なんやこれ、、、こんなん、初めて食べた、』

　

ほんまに、言葉通りの感想。

　

今まで食べてきたチーズケーキとは

一回りも二回りも違くて

美味しさと驚きと衝撃のあまり

味わって食べてたつもりが、食べ終えるのはあっという間やった。

　

めっちゃうまかったです、と伝えると

店員さんは、どこか安堵してるようやった。

　

『良かった、、、そう言っていただけて嬉しいです、(にこ)』

　

またや。

また、身体がピリピリする。

　

なのに

俺は、それが嬉しかった。

　

廉『フフッ、』

『え、、』

廉『ほんまに嬉しそうに笑いますね、(笑)』

『、っ、、』

　

まるで

この感情を待ってたかのように

無意識に笑みがこぼれる。

　

　

せやからこれは

下心があった訳でも、嘘をついた訳でもなかった。

　

　

『、、、また来ます。』

　

　

不思議やった。

　

ケーキだけじゃない

彼女の笑み、仕草、雰囲気、その全てが

　

俺の心を震わせた。

　

　

　

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