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勝手に入ってきた割に、おとなしくイスに座った永瀬さん(の幻覚)。
状況がまだ飲み込めない私を
どこか面白がるように彼はそこから眺め始めた。
A「、、、幻?」
廉「え、俺に言うてる?」
A「やっぱり、幻か、、」
廉「ちゃうちゃう(笑)。幻ちゃうくてほんまもんやって。」
ほら
と、両手をこちらに広げて見せる永瀬さん(の幻覚)。
だからなんとなく
てくてくと歩み寄って、彼に触れてみる。
すると
空を切ると思っていた手が
ポン、と本物の肩にゆっくり落ちた。
A「、、、本物だ、」
廉「せやから言うとるやん。俺はほんまもんやって、(笑)」
A「、、眩し、」
思わずそう呟いた私に
彼はどこか照れてるような、屈託のない笑みを浮かべた。
まさか声に出てたとは思わないから
気づけば永瀬さんに触れてた手を
恥ずかしさ故にパッと離して
彼の向かいの席に、わざと勢い良く腰をかけた。
そして
何事もなかったかのように言った。
A「、、、というか、もうお店終わってます。」
廉「うん。知っとる。」
A「、、、聞いていいですか?」
廉「ん?」
A「何で、ここに居るんですか?」
決して、自惚れている訳じゃない。
かといって、期待していない訳でもない。
自分の気持ちの見分けがつかないのは
今にも眠ってしまいそうな脳みそのせいにしておけば
どうにか恥ずかしさを紛らわせられる事に、私は気づいてしまった。
だから
眠気が引っ張り出した“素直”を、そのまま永瀬さんに振りかざした。
だけど永瀬さんは
特に表情を変化させぬまま言った。
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Tu9mu7(プロフ) - じくねこさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります! (2020年9月11日 21時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
じくねこ - 更新ありがとございます (2020年9月11日 21時) (レス) id: 1083519e52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2020年8月19日 19時