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「なんで、捕まらないの」
今日に限ってタクシーが捕まらない。
急いでいる時に捕まらないってどうなの!?
と文句を言いながら歩き始める。
少しでも時間短縮!途中で捕まったらラッキーの精神でとポジティブに考え歩き始める知念。
てくてくと歩く。
ただ先程から気になることが。
歩いている足音とは別に微かにテンポが違う足音が聞こえる。
知念侑李に合わせてるつもりでも完璧にはいかないもので。
ピタリと止まり、ぐるっと後ろを振り返る。
「涼介!」
と叫べば、建物の影から山田涼介がバツの悪そうな顔をして出てきたのだ。
「なにしてるの?」
「いや、あの····」
「ゲーム配信するんでしょ?帰りなよ」
強めの口調で言えば帰るなんて淡い期待を抱いたが
「ちぃが気になって····」
ちぃがじゃなく彼女がの間違いじゃない?なんて口が裂けても言えない。
「用事あるって言ったよね。涼介もいい加減、僕離れしなよ」
「なんでそんなこと言うんだよ」
涼介にAを会わせたくないからだよ。
「お願いだから、帰ってよ」
「やだ。知念に着いていく」
僕だって涼介離れしなきゃいけない。
涼介のお願いは断れた試しがない。
結局、涼介を連れて行くしかなかった。
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作者名:ドライ | 作成日時:2023年6月8日 12時