*.ふぁんぽん詰め.* (ページ5)

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towaco..｢今年最後を｣ページ5

"今日がもし、貴方の人生を変える運命の日だったらどうします？"

また今年、そんな声が除夜の鐘に乗せてやってきた。
他人からしたら'いつの話だ'程度なのに

年越し蕎麦の最後の一口を口を含んで、初日の出まで時間がある事を良く思い、そのまま床に倒れた。

只々繰り返されるその言葉に背中を向ける
(…運命の日が今日？)
そもそもそれが解る訳が無い、どうする事も出来ないのが人間だ

あの人は、まだ'運命'を信じてるのか。
いい加減にけじめを付けてしまえばいいのに、

私だったら悲しませる訳ない、そんな暇与えない。沢山甘えて、時折甘えられるのもいい

何をしたって、欲しい物は消えてゆく
観葉植物だって、私の手に掛かれば直ぐに枯れる
本当に、直ぐ。

…どれだけ大切にしたって無理なのは、何故だろう

もうそんな事を考える自分にも嫌気が差して、上着を羽織って外に出た。只体に任せて動いただけ、行く先は考えてない

こんな時間から初詣に行くのも、な。

暗闇に私の息が白く凍って目立つ。私の横を通り過ぎる二人組の恋人が、幸せそうに笑った

…私には有り得ないから、何度も夢見た光景
立ち止まって、ふと後ろを向いた。

何も無ければそれでいい、それできっと諦めがつくのに

「もう新年明けたんですねぇ」
って、笑って喋って、本当どうして居るのか腹が立つ。

「…運命掴めました？」

って、何を口走っているんだ。もっと久しぶり、とかあるだろう

「え？んん、ついさっき変えようと抗ってましたけど。儚く散りましたね」

「来年もやるんですか、それ」

「や、今年で終いです。もう諦めがついた
私の中から運命厨は居なくなりましたよ」

何だ運命厨って。
私も私で妙な所に着目点したな、少し笑ってしまう
…でもそうか、なら

「今年からは運命に頼らない事にしたんです
自分を信じな駄目やって、やっと解った。
近すぎて届かないって本当にあるんですね…って、遠いって言われたらそうとも言えるんですけど」

そう思ったのも、束の間。

「ヒントなら沢山あげたんに、必要無かったか
僕の片思いの人なんて居らん、好きなんは貴方一人なんですよ
こんな事なら、真っ直ぐに貴方へ伝えれば良かった」

それも、束の間の束の間
顔全体の力が抜けて、見るからに阿呆面。

それを見て貴方は「あはは、本当阿呆やわ」って、駄目だ

大好きです