きっともうこのままでいる【ヘタリア】【短編集】

どうしてもその時は ページ20

久々にゆっくり10時間睡眠ができた夜の事。長い間見ることになるであろう今日の夢には、いつも会議などでお世話になっているルートヴィッヒさんが出てきた。

　夢の中の少しぼやけた視界もはっきりとした頃、いつの頃の事が夢に出てきたのか分かった。というのも、私はどれだけ夢を見てもそれが夢であるという意識を失わずにいるのだ。あとから起きて夢だったと気付くこともない。ずっと過去の事を夢として見ているのだ。
　今回はそう、第二次産業革命辺りだろうか。目の前にいるルートヴィッヒさんは作業着を着て手袋をしている。


「……大体の事は理解した。だが、何も俺じゃなくてもいいのではないか？アーサーやアルフレッド、というかお前の近所にも教えてくれそうな奴はいるだろう。フェリシアーノとか」

　そうです。私は第二次産業革命に乗り遅れ気味で、どうにか少しでも追い付こうとルートヴィッヒさんに頼み込んだんだ。誰に頼むか考えに考えた結果、ルートヴィッヒさんになったんだよね。1番……1番、何？忘れちゃったや。

「そんな事言わないでください。いや、ルートヴィッヒさんて、私の中で1番工業が得意そうなんですよ。ギルベルトさんも。それに、違う他の方に頼むとすると、どこも角が立ちそうで……ね！お願いします！！基本のキだけで良いんです！！！」


　そうそう。思い出したよルートヴィッヒさんを選んだ理由。

　私は特に何もしなくていい。何もしなくても、夢は進んでいく。そういう物なんだと、夢を見るようになってから学んだ。

「……そうか。ふむ。少しだからな。あまり空いている時間が無いんだ」

「わ、やったっ！ありがとうございます！本当に助かります！！」

　これは本当に嬉しかったなあ、今でもたまに思い出すくらい。ていうか思い出したから夢に見たのか。


　「そうとなれば日にちを決めるぞ。いつが良い？」

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