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その時の君はやけに静かで ページ19

午前11時。来客を待ちながらお湯を沸かしていると、玄関の方から少し声が聞こえた後、家のチャイムが鳴った。はいはいと答えながらドアスコープで外を見る。最近は残念ながら物騒だったりするし。

「おいジア、来たぞ

 誰が来たか確認してからガチャリとドアを開ける。今日来たのはロヴィーノ。今回は珍しくアポが取ってある。

「やっほ、ロヴィーノ。上がって。今お湯沸かしてるから」

「ん。邪魔するぞ」

 リビングのソファに座ってもらい、自分はお茶を淹れにキッチンへ向かう。コーヒーにしようか。なんでか紅茶は嫌がられるんだよね。嫌いじゃないはずなんだけど。


「はい、コーヒーにしたよ」

「ありがと」

 どうしてだか今日はやけに静かに感じる。元気がなさそうには見えないけど、何か落ち込むようなことがあっただろうか。

「で、今日はどうしたの?急にこっち来ていいかなんて言うって、相当な何かがあったの?」

 そう、アポを取ったといっても、来ると言われたのは昨日なのだ。言われないよりは随分と良いけど。

「別に、様子が見たかっただけだ」

「そう。大丈夫?なんかいつもよりすごく静かだけど。元気ないの?」

「なんでもねーよ、このやろー。そんな気にすることかよ」

 物凄く聞いてほしくなさそうに言ってくるので、少し黙った後話題を変えた。

「あ、そうそう。入ってくる時に見たと思うけど、また家の花が増えたんだ。もうちょっとあればたくさん花が咲くよ、その時また来る機会があるといいけど……」

 唐突過ぎただろうか。まあ少し位いいよね、冷え切ったさっきの空気よりは。

「……お前花好きだもんな。良いぜ、見に来てやるよ」

 おや、意外と好感触。

「ほんと!?やったね、端にあるけどバラは最近やっとアーチに絡んできたし、ラベンダーは増えていくし、頑張って良かったよ」

「楽しそうで良かったな。頑張ってるお前は俺も好きだぞ」

 来たばっかりの時の硬い表情が柔らかくなった気がして、とても嬉しい。なんで機嫌が悪そうに見えたか分からないくらいだ。でもそれは分からなくて良いのかも知れない。なんでか言えないけど、その方がいい。

「思い出した、昨日作ってたお菓子、確かロヴィーノ好きだったと思うから取ってくるね」


 深く知ろうとしない事も、時には必要なのだ。

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作品ジャンル:アニメ
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_(:3 」∠)_ - 深夜テンションでここまでとは…言葉も丁寧で読みやすいです。これからも頑張ってください!応援してます。 (2018年6月4日 20時) (レス) id: e3a3a6d8ed (このIDを非表示/違反報告)
ふるた(プロフ) - _(:3 」∠)_さん» コメントありがとうございます!深夜のテンションで作ってしまったためそんなに言っていただけると思いませんでした。これからも読んでいだけると幸いです。 (2018年6月4日 19時) (レス) id: ce22852cc5 (このIDを非表示/違反報告)
_(:3 」∠)_ - 初めまして!とても楽しく読ませていただきました。次の更新が待ち遠しいです(*^-^*)楽しみにしてます♪ (2018年6月4日 19時) (レス) id: e3a3a6d8ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふるた | 作成日時:2018年6月3日 4時

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