Walking with you 7 (ページ5)

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呼吸に焦りが見えてくる。

不自然に肩で呼吸する二宮。

音も普通ではなくて、気道が狭くなってそうな音。

ゼーゼー音がさらに大きくなり、他の人にも聞こえてる様子。

前の席のやつが時々後ろを振り向くのがわかる。

本人は呼吸がキツイのか、前屈みになり、机に腕を置き、下を向いて目をぎゅっと瞑る。

手の先は丸まっており、ギュッと手のひらに爪が食い込むような強さで握られてる。

それくらい辛いみたいで心が痛くなってくる。

授業はまだあと25分あり、二宮はそんな長く耐えられないと思う。

どうしようか頭をフル回転させてると、

二宮がリュックからぜんそくの吸入器を震える手で取りだし、席をガバッと立つ。

みんなが振り向く寸前にポケットへそれを入れ、ドアまで歩き出す。

みんながやめろやめろという顔で見つめるなか、二宮は堂々とした姿で出ていく。

｢二宮ァァァァァ｣

この階全体に響くような大声を出した先生。

早足で逃げた二宮を物凄い勢いで追う。

それをクラス全員がこぞって見ようとドアから窓から覗く。

運動神経のいい二宮は反射的にダッシュし、早くも階段に消えていった。

定年間際の先生は到底追いつけない。