僕らの日々 (ページ30)

今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:28,233 hit

4 ページ30

バイトに行かなくなってから数日。

体調が回復するどころかじわじわ悪くなってきてて、そんな中で医療専攻の一日看護師体験に来た。

ゲストルームに住み着いてから、咳も気にせずできるし、快適だと思ってたんだけど、咳のしすぎで逆に悪化しちゃって、メプチンエアーも残り14回と危機を迎えている。

1日5〜6回は吸入してる。
そのせいで手が震えたり動悸がしたりで気分が悪い。

それに加えて今日はせき中枢に効く薬を少し多く飲んでるから、咳は多少出にくくなっているものの、倦怠感がすごい。

｢お兄ちゃんおに！｣

俺を含めた5人が小児科を任された。

端っこにいる看護師さん主導の元、元気な子たちで中庭を駆け回る。

病気を抱えてても子供は子供で、ありえないくらいの体力を持ってる。

高校生の俺らは早くにしてヘトヘトで看護師さんに笑われる。

｢あっち行く〜｣

小児科1番のヤンチャ者だと称されるげんたくんは走って遠くの方まで行っちゃって、それに唯一気付いていた俺が彼を追いかける。

こんな暑っつい中、熱中症になんないのかね。
すばしっこいその背中を追う。

すると人気のない生ゴミが留置されたところに来ちゃって、プンプン飛びまわるハエに動揺する俺。

止まった足をまた進め、げんたくんの元へ行く。

｢もー、けほっけほっ、げほっ、、はやいね、、はぁっ、、｣

暫くハァハァしてると時間差で咳がでてきて、それを見たげんたくんが小さな手で俺の背中をトントンする。

ぜーぜーひゅーひゅーする呼吸に不安を覚えて、吸入器に手を伸ばす。

あれ、ない。
そーだ。リュックの中に入れたままだった。

｢お兄ちゃん？｣

｢げんたく、、みんなのとこ、もどろ？｣

手を繋ぎ、口をすぼめて呼吸を整えながら歩く。

すると、ゴミの留置所にさっきはなかったヒトカゲ。

そこからは煙が出ていて、勘がタバコだ！って。

ぽっけからハンカチを引っこ抜き、げんたくんの鼻と口を塞ぐ。

｢少しだけ、、息、止めててね？｣

げんたくんを抱いて走る。

小児がんの子。
発がん性物質である副流煙を吸って万が一治りにくくなってしまったらどうしよう。俺にはそんな責任とれないよ？

そんな思いで必死に走る。