よにんの時間 ページ6
｢ニノさんも手伝ってくださいよ！｣
｢んふふ｣
僕の部屋でビデオを回す二宮さん。
運び込まれた荷物を丁寧に出してくれる山田くん。
ダンボールをひとつにまとめてくれる中丸さん。
今日は僕がこの家に引っ越してきた日。
家でゆっくりしていた3人がこうして手伝ってくれている。
｢風磨、これ、俺とお揃いかも！｣
｢え、ホントすか！｣
山田くんは僕の事務所の先輩なんだけど、本当に人見知りで。
こんなに親しげに話してくれるのはレア。
春の暖かい日差しが差し込む部屋で桜のような笑顔が沢山咲いた。
｢うわぁぁ！完成だ！｣
荷物を運び入れてから2時間。
ようやく部屋の整理が完了した。
ぐぅぅぅ
｢山田くん、止まんないじゃないですか！｣
｢どんだけ腹減ってんだよ｣
｢ふへへ｣
鳴り止まない山田くんのお腹の音。
僕がツッコミを入れると二宮さんと中丸さんも一緒になってそう言う。
中丸さんに関してはただヘラヘラ笑ってるだけだけど。
｢みんなさ、ゲームしない？｣
よにんで階段を降りてると、二宮さんがいたずらっ子のような表情を浮かべてそう言う。
｢｢｢ゲーム？｣｣｣
｢埃とか少なからず浴びてるわけだし、汚いままご飯を食べるわけにはいかないじゃん？｣
｢｢｢はい｣｣｣
｢だからみんなでシャワー浴びるんだけど、それだけじゃ面白くないじゃん？｣
｢｢｢はい｣｣｣
｢え、まって、ニノさん、！もしかして、、｣
｢そう！Uberが届くまでに完了させてちゃんと受け取れた人が勝ち！負けたらみんなの分奢り！｣
二宮さんと山田くんはよくふたりでやるらしく、山田くんは呆れたように笑う。
｢｢｢｢せーの！｣｣｣｣
同じタイミングでそれぞれが好きなお店のものを頼んだ。
そしてすぐに自分の部屋へダッシュで行き、着替えを持って脱衣所に向かう。
｢あのー、二宮くん！｣
｢や、やまだくんさ、｣
｢菊池？新人だろ？｣
シャワーは3つしかなくて、出遅れた中丸さんが真っ裸のまま後ろをちょろちょろしている。
声がよく響く浴室。
よにんの楽しそうな声がうるさいくらいに木霊していた。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2024年1月6日 16時
