お昼の美術準備室 ページ19
｢わお、なんじゃあれ｣
午前の授業が終わり、中島とお弁当を持って美術準備室の前に来た。
そしたら、松本先生の周りには大勢の女子が群がっていて。
｢こっちにも一応イケメンいるんだけどな、、｣
それに唖然としていたら、横から中島ではない誰かの声が聞こえてきた。
｢わっ、山田くん！｣
横を向けば知念さんもいてビックリ。
｢俺らいつも美術準備室の外のちょっと出っ張ってるコンクリのとこでご飯食べてんの。｣
なんでここに居るのか聞けば、そう返ってくる。
｢いっつもあんな感じだから勝手に入ってるの。俺ら。｣
横で知念さんがそう言い、勝手に入っていく。
俺らもそれについていく。
｢失礼しま…｣
入った瞬間にドキッとする。
松本先生のデスクに誰かが伏せて眠ってる。
耳にはうどんが刺さっていて、多分俺らの声は届いていない。
｢ニノさんだ。ってことは今日は病院の日か。｣
｢だね。疲れてるだろうし起こさないように外でよ？｣
山田くんと知念さんがコソコソと話す。
｢抜き足差し足忍び足で着いてこいよ？｣
そして、カーテンを開け、ドアを静かにスライドさせ、例の出っ張っているコンクリの部分に到達。
｢うわぁぁ、太陽がきもてぃぃ｣
｢あれ、そのキャラ封印したんじゃなかったんだ？｣
あまりの気持ちよさに、素の自分が出てしまう。
するとすかさず山田くんに指摘され、、。
｢やっぱり変にクールキャラ演じるよりその方がずっといいよ。｣
中島が半笑いでそう言う。
ちょっとその態度気に食わねぇななんて思ったけど、彼の言う通り。
このキャラじゃないとなんか自分の良さがでないよね。なんて思う。
｢え？｣
短い昼休み。
みんなで学校や仕事の話をしていればあっという間に終わってしまって、教室に戻ろうとドアを開けた。
そしたら、松本先生と二宮さんが同じ姿勢で眠っているではないか。
いつの間にか二宮さんの片方のうどんが松本先生の耳にささっていて、。
同じ曲でも聞いているのだろうか。
どちらも穏やかな表情をしてスピスピと眠っている。
｢それぞれ色々あって疲れてるだろうから起こすんじゃねぇぞ？｣
山田くんがものすごい小さい声でそう言ってくる。
だから、眠っているおふたりに話しかけたいのをグッとこらえ、大人しく教室に戻った。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2024年1月6日 16時
