伝説の卒業生 ページ13
｢はぁ、｣
｢なに？ため息なんかついて｣
｢いやぁ、俺ら入学式とその次の日、仕事で出席できなかったじゃん？
んで今日が初の登校日なわけじゃん？なのにいきなり授業で不安だしなんか憂鬱。｣
｢確かにね。それはある。｣
バスから降り、学校の校門をくぐった俺ら。
まず、一般科の生徒たちからの視線が気になる。
そんで、勉強のこととかに対しての不安がのしかかってきて朝から憂鬱だ。
朝、たまたま朝食の時間が被った風間さんに｢いってらっしゃい｣と言ってもらったのが、不安で割れかけている僕のハートにしみる。
｢そう言えばさ、1限は体育、2､3限は芸術だから比較的楽じゃない？｣
｢確かに。午前楽だね。中島、芸術どれにした？｣
ウチの高校には芸術というものがあって、音楽・美術・書道から好きなのを選択して授業を受けることが出来る。
｢俺は音楽。｣
｢奇遇だな。俺も音楽よ。｣
どこまでも一緒の中島。
俺らってもしかしたら前世もこうして一緒にいたんじゃないかと思う時がある。
｢松本先生やばくなかった？｣
｢大きい声では言えないけど、芸能科の男子なんて比べ物になんないくらいのイケメンぶりじゃなかった？｣
｢ほんとにそう。彼自身がアートよ。彫刻だよね。｣
お昼休み。
教室の隅で中島とご飯を食べているとそんな声が聞こえてくる。
テレビで見たその子たちの印象が崩れるような発言で正直落ち込んだけど、実際俺らはまだ高校1年生。
結局はまだ子供だから仕方がないこと。
そう考えるようにしたんだけど、、
やっぱりショックだし、そのイケメン先生の事も気になってくる。
｢菊池ぃ、顔っ。｣
｢えっ、｣
｢なんかめちゃくちゃ考え込んでたでしょ。すんごい顰めっ面だったよ。｣
｢うそ、顔に出てたか。
ねぇ、松本先生のこと気にならない？｣
｢あぁ、｣
僕が真剣な顔で聞くと、中島がクスクスと笑いだす。
｢何？なんで笑うのさ？｣
｢俺、松本先生のこと知ってるけど、彼には誰も勝てないよ｣
さすが中島。情報量が違う。
｢松本先生は堀越の一般科出身だよ。｣
｢え？｣
｢あだ名はキング。当時も芸能科の生徒と比にならないくらい顔が良かったとか。｣
｢まじか。｣
｢放課後、卒アル見に行く？｣
｢え、そんなこと出来るの？行きたいんだけど！｣
初日から高校生らしい放課後を過ごすことになった俺ら。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2024年1月6日 16時
