選ばれし者たちのシェアハウス (ページ1)

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怪しげな担当者ページ1

12月25日。

街が赤白緑で賑わっている日。

恋人もいなければ親しい友人もいない僕は、母親と一緒に春から住む家を探しに行く。

｢風磨も遂にお家を旅立つのね。寂しくなっちゃうわ。｣

雑居ビル2階の小さな不動産屋に着いた。

受付係に｢担当者をお呼びしますので、おかけになってお待ちください。｣と個室に案内される。

少しソワソワしながら椅子に腰かけた。

そんな僕に母がそう言う。

｢正直さ、うるさいのが居なくなっていいなとか思ってるんでしょ？｣

｢まぁね！でもお風呂洗いとか洗濯物とか大変になっちゃうわね。パパなんて絶対手伝ってくれないもの。｣

｢俺は日々母さんにやらされてたんで、1人でも上手くやって行けそうですわ｣

親子仲良くそんな話をしていると、

｢お待たせ致しました。担当者の喜多川です。｣

とサングラスの怪しげなおじさんが入ってきた。

お茶と書類を出され、チェック項目にピンをつけていった。

｢終わりました｣

と書類を出すと、サングラスがタダのメガネになっていた。

調光レンズだったのか。

ってことは、ここに来る直前まで外に出てたのか。

それに気付いてからはその人の怪しさが倍増。

｢You、Youにはね是非ここに入ってもらいたい。｣

書類にサッと目を通してから資料を出すまでのスピードが異常に早かった。

｢は？｣

言葉遣いも何もかもが本当に怪しく思えて、ついそんな失礼なリアクションをしてしまった。