【腹痛と感動と】 ページ9
二宮side
｢誰がごみ捨て行く？｣
｢俺は絶対やだ。彼女ん家行くから無理｣
｢俺も無理。すぐ部活行かないとだし｣
クラスに馴染んできて容赦なく文句を言うクラスメイト。
｢もー決まんないしジャンケンにしよ｣
和｢はー？無理｣
関｢まじか｣
最終対戦。僕と関さんの一騎打ち。
関｢今日ちょっと体調悪いんだけど…｣
嫌そうにそう言う関さん。
和｢俺も今腹痛いんだけど｣
僕も負けじとそう言う。
実は朝からみぞおちの辺りがキリキリズキズキと痛む。
痛むって言っても大したことないんだけどね。
関｢俺、身体弱いんだよね。二宮にはわかんないと思うけど微熱でも結構きついの。｣
嫌味っぽく言われる。
和｢んな事言われたって、。｣
｢二宮お前結構掃除サボってたじゃん｣
｢そーだよ、掃除くらいしときなよ｣
責められる僕。
終いには｢俺の何倍も身体強いんだから行ってきてよ｣と関さんに言われる羽目に。
『俺の何倍も身体強いんだから』
このフレーズが耳に残る。
僕は確かに。と納得しごみ捨てに行くことに。
和｢おれのほうがつよいし。いわれなくたってわかってるわ。｣
不機嫌にブツブツと独り言。
雅｢あ！和じゃん！｣
ゴミの小屋から雅が出てくる。
雅｢あれ、顔色悪いじゃん、どーしたの？｣
両手で頬を潰される。
和｢ゴミ触った手でほっぺ触んな｣
大袈裟にその手を振り払う。
雅｢はいはい、ごめんね！でもホントに顔色悪いよ｣
和｢なんか知らないけど腹痛いんだよね｣
雅｢変なもんでも食べちゃったんじゃない？最近喘息も出てないっぽいし軽く運動してみたら？そんで早く出しちゃいなよ｣
和｢ん。そーしてみる。じゃーね｣
ただの腹痛でもこんなに心配してくれる人がいることに、くすぐったさみたいなのを感じて逃げる。
和｢ほんとしんぱいしょーなんだから。｣
ひとりになって、僕は口を尖らせた。
内心嬉しいくせに。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2023年1月28日 0時
