2 ページ48
｢ニノっ！捜したよ〜。あっ、こんにちは〜｣
二宮さんを“ニノっ”と呼び、近付いてきた男性。
お笑い芸人の陣内さんだ、、。
｢あ、陣さん！今ね、まひるちゃんにね、ハルが破っちゃったう○こバッグ直してもらってんの！｣
二宮さんは嬉しそうに陣内さんの名前を呼び、見て見て！と手招きする。
｢もー、こんな薄着じゃダメでしょ？｣
陣内さんが慣れた手つきで、自身の着ていたコートを二宮さんに着せる。
この2人、もしかして親子？
でも名字違うし、、。
私がひとりで悩んでいると、
｢あっ、この人、陣内って言うんです。ウチの住人！｣
と、二宮さんが丁寧に紹介してくれる。
｢どうも、！｣
一方の陣内さんは、素敵な笑顔を見せるものの、どこかはやく切り上げたそうな顔をしている。
｢ベンチコートありがとうございました！｣
だから、二宮さんにベンチコートを返し、帰る素振りを見せた。
｢ごめんね、まひるちゃん、ほんとに助かった！｣
紳士的な彼は丁寧にお辞儀し、子どもみたいにブンブンと手を振った。
｢ちょっと、、熱出てるんじゃない？早く帰ってこたつで温まりなさい。｣
公園から少し歩いたところで、自分が忘れ物をしていることに気付いた。
走って取りに行くと、まだあのふたりは公園にいて、何かを話していた。
盗み聞きは良くないと分かっているんだけど、二宮さんのことがどうしても気になっちゃって、物陰に隠れて話を聞く。
そしたらどうやら体調が良くなさそうで、陣内さんがものすごく心配されてる。
あれから毎日、あの公園に通った。
自分のせいで体調が悪くなってしまった二宮さんに謝りたくて、
ふんわりと優しく微笑む二宮さんのお顔が見たくて、
心を穏やかにさせてくれる二宮さんの声が聞きたくて、、。
でも今日は、両親の喧嘩に巻き込まれ、涙が出そうだったから逃げてきた。
こんな理由で二宮さんとの思い出があるこの公園に来るのが情けなくて、汚らわしくて、、さらに涙がこぼれた。
なんでこんなに恵まれてないんだろうって。
そしたら、、わんわんって聞き覚えのある犬の鳴き声が。
｢まひるちゃん、ちょっとハルちゃんの事よろしく。｣
突然リードを渡し、去っていってしまう二宮さん。
久々に会えたのが、こんな日で、こんな状態で、恥ずかしくてさらに涙が出る。
二宮さんが去ったのをいい事に、声を漏らして泣く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» 私もそろっと卍だしてこようかと思ってて!!!!!桜の季節を感じられるようなお話を12の方に書いてみました！良かったら読んでやってください！ (2023年3月16日 22時) (
レス) id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - もうすぐ桜の季節ですね。花咲荘にも笑顔の花がどんどん咲きますように！卍くんも来ないかなぁ〜。ありがとうございました💛 (2023年3月16日 19時) (レス) @page50 id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
賞味期限(プロフ) - こうるさん» こんばんは！それはそれは良かったです🥲こうるさんが眠れるようにまたあったかいお話が書けたらなと思ってます！これからもどうぞよろしくお願いします🙇🏻♀️ (2023年3月16日 2時) (レス) id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
こうる(プロフ) - 今実は眠れなくて不安だったのですが、あたたかいお話にほっこりさせていただきました。ありがとうございます。これからも応援しています！！ (2023年3月16日 2時) (レス) @page50 id: 9b5a4b5516 (このIDを非表示/違反報告)
賞味期限(プロフ) - zawamiyaさん» ご愛読ありがとうございます！嬉しさで胸がいっぱいです！これからもよろしくお願いします！ (2023年2月10日 21時) (レス) id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：賞味期限 | 作成日時：2023年1月9日 4時
