トントンしてあげる券 ページ21
｢しょおにぃ、｣
｢ん？どうした？｣
目を擦りながら俺の部屋に入ってきた和。
和のちっこい手には、大きな枕とブランケット。
｢“トントンしてあげる券”あげる｣
ブランケットを引きずり、手に持ってる券を差し出しながら歩いてくる。
｢なぁに？一緒に寝て欲しいの？｣
｢ちがう。一緒に寝てあげるの。｣
小学一年生になりたての和。
20、18、17、15と年の離れた兄たちに育てられたせいか、素直じゃない。
｢…ほらおいで？｣
｢うん。｣
そんな和でも、容姿が可愛いから許せちゃう。て言うかむしろそれが可愛い。
｢和？｣
トントンする手が3分たった頃にピタッと止まる。
どうやら“トントンしてあげる券”のトントン時間は3分らしい。
雲が散り、月明かりが部屋に入ってくる。
その時にハッキリと見えた和の寝顔。
あどけなくてかわいい。
けど、目が覚めてる間は素直じゃないし少しひねくれてて、ずる賢いガキになっちゃうんだよね。
夏休みの宿題は“宿題をしなかったら兄たちはどんな反応をするか”という自由研究をやり、するのを免れた。
つい最近終わってしまった冬休みでは、長男の智に｢さとにぃだったらどうやって書く？｣と硬筆の課題をさせ、それをそのまま提出して特別賞をとった。
｢ほんとにお前は、、｣
寝ている和の頭をわしゃわしゃと乱雑に撫でる。
｢翔、和来てない？｣
すると、スーツ姿のお袋が顔を出す。
｢ここで寝てる。｣
｢そっかそっか。母さん、急遽ニュージーランドに来いって言われてさ、荷物まとめたらすぐ出るから、しばらく和の事よろしくね？｣
仕事人間の母さんは忙しそうに部屋を去っていく。
父さんが生きてた頃はこんなじゃなかった。
だから、和は寂しいだろうな。
｢っ！！、！はぁっ、はぁっ、はぁっ、、苦しっ、、｣
いつの間にか夢の中に居た俺。
突然苦しくなって起き上がる。
｢ふはははっ！おきた！！きゃはっ！｣
｢おまえ、、なにした？｣
｢しょーちゃんのいびきうるさかったから音が出ないように鼻つまんでた｣
犯人はコイツ。
本気で死ぬかと思った俺は、和に一喝。
泣き虫なコイツはしゃっくりが出てしまうくらい大声で泣いて、様子を見に来た潤に抱えられて出ていく。
こんな遅い時間にすぐに駆けつけて来るってことは、おそらく受験勉強してた。
お疲れのところ申し訳ないけど、今日はあいつのこと潤に任せる…。
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賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» ありがとうございます🥺 (2023年2月10日 21時) (
レス) id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - こういう話、私も弱いんです( ；∀；)。和くんが生きてて良かったです。ありがとうございました。 (2023年1月4日 18時) (レス) @page35 id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» こちらこそご愛読ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いします！リクエストなども絶賛募集中なので是非！ (2022年12月28日 23時) (レス) id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ありがとうございました。キミがいた3週間シリーズが好きなので嬉しかったです。 (2022年12月27日 18時) (レス) @page7 id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年12月25日 22時
