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｢かず？かず！｣
病室から漏れる和子さんの声でニノが目を覚ましたことを確認する。
オイラ以外のメンバーはそれぞれ仕事があって行ってしまった。
だから、“ニノが起きたみたい！見てくるね！”とメッセージを入れて、病室に入っていく。
｢あたま、いたい。｣
ドラマでよく見る感動的なそれとはだいぶ違う状況。
ベッドの上のニノは、心電図モニターや酸素マスク、点滴やらなんやらが着いていることを把握していないのか、激しく痛むであろう頭を抱え、胎児のように身体を丸めて唸る。
｢良かった、、今のところ言語障害に問題は見られないですね。｣
ナースコールを押してからすぐに来た先生たち。
“痛い”、“痛い”と唸るニノを見てそう言う。
｢痛み止め入れますね、すぐに楽になれますから、力抜いて〜｣
先生が注射したそれは、鎮静剤のようだ。
強ばってたニノの身体がすぐにクタッっとし、数人がかりで仰向けに体位を戻される。
力なく眠りについたニノを見て、和子さんは相当ショックを受けたのか、ニノのお父さんに支えられながらソファに横になった。
オイラの1歳下である、ニノの姉ちゃん。
和子さんの代わりに、ニノの手を握り、優しく摩ってあげてる。
｢血管細いからまた失敗されちゃったね。傷跡すぐに消えるように塗り薬も塗ってもらわないとね。｣
眠ったニノに必死になって声をかける彼女を見て、オイラも反対側に回り込み、手を握って、ひたすら摩り続ける。
面会時間終了のお知らせが届き、オイラは二宮家とともに病院を後にする。
明日には痛みが引き、オイラとなんでもない話で盛り上がれますように。
大きな病院を出て、病院に向かって手を合わせる。
その後、マネージャーの車に乗り込み、“頭痛で唸ってて鎮静剤打ってもらってた。”とグループにメッセージを送った。
文字を一文字打つ度、蘇るあの情景。
胸がチクチクといたんだから、爆音で音楽を流し、気を紛らわした。
結局は、ニノのことを思い出して涙を流してしまうんだけどね。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年10月23日 21時
