・ ページ22
｢救急車、それからマネージャーさんに連絡！｣
下に着く頃にはスタッフさん達に取り囲まれていたニノ。
再び階段を登り、少し上から状況を見てみると、ニノの耳の上あたりが階段の縁に当たっており、どす黒い血が垂れている。
医療スタッフさん達でも異常に焦るほどの事態で、真っ青になりながらも処置に当たってくれてる。
しばらくして救急車が到着。
頭を固定され、ストレッチャーに乗せられたニノ。
口には酸素マスクが被せられ、腕には点滴が。
あまりに痛々しい姿で、とても目を開けていられなかった。
｢止血は終わり、今のところは安定しています。｣
撮影はもちろん延期になり、空きができた僕ら。
病院に着いた頃、ちょうど処置を終え、処置室からでてきた先生。
その一言で僕らは安心し、その場に力なく座り込む。
｢慢性的な貧血により、心臓のポンプ機能までもが落ちたことによる失神だと思われます。｣
｢目覚めてみてからじゃないと分かりませんが、運動障害などが見られなかった場合は、すぐにでも経口で栄養を採らせて、怪我の治療と同時に治療をしていく方針です。｣
病室に移されたニノ。
少しして駆けつけたニノの家族と、事務所のお偉いさん、撮影スタッフ、マネージャー。
彼らと大きな会議室を借りて、そこでお医者さんから説明を受ける。
“貧血プラス怪我を負ったため免疫力が──”
“麻痺が起こるかもしれませんが──”
“理学療法にはたくさん種類があって──”
無事に目ざめ、回復していくことの方が珍しいと言われてるようなこの状況に、めまいがする。
プラス、難しい言葉、現実味のない言葉ばっかで、頭がおかしくなりそう。
そんなとき、“だいじょぶ、俺もよくわかんないから”と慰めになっていないけど、思いやりが十分伝わる言葉をかけてくれた相葉ちゃん。
彼の骨ばってて大きな男らしい手がオイラの手に被さる。
彼の顔を見ようとすると、他のメンバーの顔も目に入り、彼らのオイラに対しての目線がとても優しくて、、震えるほど安心した。
やっぱり、嵐がこのメンバーで良かった。そう思った瞬間だった。
そんなことがあったから、このメンバーに囲まれてりゃ、ニノもびっくりするほど順調に回復してくれるだろう。
と期待だけを胸に、彼の目覚めを明るい顔して待っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年10月23日 21時
