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家族思いの智に心配かけないように、無理に明るい笑顔浮かべ家のドアを開けた。
何もなかったふりして｢ただいま｣と言えば、いつも以上に優しく智は微笑んだ。
｢おかえり｣
その声があまりにも優しくて、石ころだった僕の心が柔らかく解けていく。
｢おやつ、用意しといたよ。オイラ、閉店まで戻んないから、夕食までこれで我慢してね〜｣
涙が溢れ出しそうになり、目を伏せ、早足で部屋に向かう。
後ろからはそんな優しい声が聞こえ、心が更に解れていく。
｢さとし、、ごめんなさい。｣
布団にくるまり、嗚咽が漏れないよう、息を殺して泣いた。
智が店に戻っていく音が聞こえると、熱の篭った布団から出てきて、声を出して泣く。
智のあの優しい声。僕に何かあったんだって察してるみたいで、悔しかった。
心配かけないようにと思って頑張ってきたのにね。
変わろうと心に決め、行動に移そうとした矢先、
｢けほけほっ、けほっ｣
咳喘息と上咽頭炎を発症してしまい、入院することになってしまった。
先生は過度のストレスだと言う。
逆流性食道炎も軽度だけど発症してるみたいで、どうしても入院は間逃れられなかった。
｢和也くん、Ｂスポット療法の時間です。先生くるまであともう少しだから、ちょっと待っててね。｣
看護師さんが来る。
僕の大嫌いなＢスポット療法。
鼻の奥をグリグリやられるやつ。
痛くて気持ち悪くて嫌。
こんなの、イジメと比べればマシな方なはずなんだけど、学校から距離を置き、智の優しさに慣れちゃったら、、急に怖くなった。嫌だとも思った。
｢さとし、、僕、治療、したくない。もう、痛いことされたくない。けほけほっ｣
ベッドサイドにいる智に手を伸ばし、服の袖をぎゅっと掴んでそう言う。
すると、
｢そっか。嫌だよね。オイラも和が痛いことされてるの見たくない。先生に違う方法がないか聞いてみようね。｣
と優しい声で包み込んでくれた。
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賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» ありがとうございます！兄弟設定のお話大好き人間なんで、はじまりの年は結構お気に入りなんです！続編的なもの書いてみようと思います！ (2023年2月5日 7時) (
レス) @page34 id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - はじまりの年、とても素敵なお話でした。この設定で長いお話も読んでみたいなぁ、なんて思ってコメントしました。作品、いつも楽しく拝見しています。 (2022年12月22日 8時) (レス) id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月5日 1時
