Walking with you 3 (ページ9)

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冬のある日ページ9

にゃーにゃー

まるい目を俺に向け、高い声で鳴く。

｢にゃー｣

俺も真似して鳴いてみる。

そしたら満足したのか、せっせと去っていってしまう。

にゃーぉにゃー

また今日もキミと目が合う。

これで何回目だろうか。

いつもと同じように、俺が鳴くと満足したそうで、くるっとおしりを向けて歩き出す。

けど今日は違う。

数歩進むと、“こっちへきて”とでもいうような表情を浮かべ立ち止まってる。

俺が大人しく着いていくと、次々と猫たちが現れ、俺を囲むようにして歩く。

｢猫の恩返し？｣

これが直ぐに出てきたのは、13個離れた弟がいるせい。

最近、ことある事にそういった童話的なものに結びつけちゃうんだよね。

そんなことを考えて少し歩けば、空き地に着き、猫たちの足が止まる。

｢お待たせ〜｣

これから何が起きるのやらと考えていた矢先、茶色いダッフルコートに無地のマフラーを巻いた高校生がそう言って現れる。

そして、俺に気付いてないのか、そのままスルーして猫たちの元へ駆け寄る。

そして、ビニール袋の中に入った魚を紙皿の上に乗っけ、｢沢山食べてね〜｣と声をかけてる。

しばらくすると、新しく紙皿と魚を用意し出した彼。

｢あ、僕はだいじょぶです、、！｣

それを見た俺の口からは思いもよらぬワードがでてきて、その場にいたみんな(俺と彼と猫たち)の動きが止まる。

この時は一瞬のことすぎて何が起きてるか分からなかったけど、後になって、自分にも分け与えてくれるのではないかと勘違いしていた自分がいたことに気付く。

冬の冷たい空気の中、ほっぺから出火して、辺り一面を夏の気温にまで上げてしまいそうだ。

恥ずかしくなって目が泳ぐ俺に、初対面の彼は、クククっと可愛いく笑って、

｢さすがにあげませんよ(笑)食べたらお腹痛くなっちゃいますよ(笑)｣

マフラーに埋もれてた顔の下の部分が、笑ったことによって、赤く血色のよいツヤがある薄めの唇に、シャープなフェイスラインが顕になる。

愛らしい目元口元とは不釣り合いなはずのシャープなフェイスラインにも関わらず、いい感じにマッチしていて、整った顔。

思わず見惚れてしまった。