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｢山田っ、ちょっと来てくれ｣
数十分前に二宮先輩と出ていった木村課長。
少し焦ってるっぽい。
だからすぐに彼の後についていく。
｢俺はいいって……｣
｢そんなん分かってるけど父さんが。｣
応接室に入ると、
Nホールディングスの長男と次男が。
しかも、その輪の中に二宮先輩がいて。
親しそうな口調で会話を進めている。
｢二宮は…………｣
木村課長が小さな声で教えてくれる。
二宮先輩はNホールディングスの三男。
社長は只今、療養中で、近々全身麻酔の手術が。
万が一のために後継を今のうちに決めるらしい。
それで、3人のうち誰を社長にするかという選挙があって、
その選挙に、僕が二宮先輩のサポート役として
入らないと行けないらしい。
｢それってめちゃくちゃ重要なやつじゃないですかァ！｣
｢うん。まぁそーだね。
だからお前を選んだんだよ。｣
｢えっ？｣
応接室から戻る途中。
そんな嬉しいことを言ってもらって
思わず足が止まる。
｢俺は日の当たらないところで生きたい。
三男だからそんなに心配入らないけど、
万が一社長に選ばれちゃったりしたらアレだから、
秘書だけでも変なやつ付けとこうかなって思ってさ。｣
｢そうだったんですね。
って、！！！変なやつ呼ばわりしないでくださいよ〜｣
一瞬でも喜んでた自分が馬鹿みたい。
｢けど、二宮先輩がNホールディングスの
三男だったなんて知りませんでしたよ〜。｣
｢だって言ってないもん。｣
そう言って口をとがらせて
先へ先へと行ってしまった二宮先輩。
今考えてみれば、お金持ちの気風というか
そんなものを感じられる時がいくつかあったな。
家柄さえもかっこいい二宮先輩。
どストライクです。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月27日 13時
