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それから数分。
いつの間にか止んだ鼻歌。
彼女は机から降り、俺達の方へ近づいてきた。
物音でも出したのだろうか？
おれと嵐山は顔を見合せ冷や汗を流す。
カタ
目の前で止まった足。
しゃがみ込んだ女と目が合った。
綺麗な顔立ちで、眠そうな瞳はそれでいて力強い。
沈黙。
誰も何も言わない。
だけど、おれと嵐山の脳内は同じことを叫んでいただろう。
「いーよ。」
彼女は突然言葉を、許可を示す単語を発した。
だけど、何に対するものなのか分からず未だ固まり続ける。
「きいてる？」
反応を示さないおれ達に痺れを切らしたのか少し眉をひそめた。
嵐「す、みません、えと、何がいいんでしょうか...？」
嵐山は相手を損ねないよう、今度は返事をした。
「この部屋、使っていーよ。」
おれと嵐山は目を見開いた。
「その代わり、貴方達、私のモデルになって。」
それは交換条件のようで聞こえは良いが、
その真意は
"秘密にしてやるからモデルになれ。"
と、脅迫にも同じこと。
だけど、急な出来事に碌に頭が回らなかったのだろう。
「「……はい…」」
了承の返事をしてしまったのは。
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作者名：か め。 | 作成日時：2021年6月22日 0時
