【コンパス】君の成長、楽しみだ。【桜華忠臣】 (ページ31)

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想いの洪水ページ31

ズビズビなる鼻と、泣きじゃくりながらも堪えきれず零れる泣き声。
この約1年、共に過ごした中で初めて見る忠臣の姿だった。
それもそうだろう、親である実臣と凛子ですら、こんなに泣きじゃくっている忠臣は物心着いたあとは片手の指で足りるほどしかみていないのだ。

『臣くん…ごめんね、びっくりさせて…。』
安心させようとそう声をかけると、忠臣から微かに声聞こえた聞き取れない声。
「ぅ……ぉ…た…」
『なぁに？臣くん？』
聞き返して返答をまっていると…
堪えていた泣きじゃくる音は次第にどんどん溢れて
ついには…
「うぅ…うわぁぁぁん！！っ！Aのバカぁ～～！！！なん、で！！あんなっ、ことじだのぉ～！！っぅ…Aがっ！！じんじゃっだら…っどぉしよぅっ…っで…！！こわがっだァァァ！！」

大声をあげながら泣きじゃくる忠臣。
桜華屋敷で幼い頃から忠臣を見ている人たちも、もちろん両親ですらここまで激しく泣く忠臣は初めてみたのだ。

『そっか…ごめんね臣くん。心配させちゃったね。』
なだめようと声をかければ、さらに激しく泣きながら
「いきててよかっだぁ～～！！おで！もっどけいこもがんばずから！！強くなるがら！！
Aが怪我しなぐでもいいぐだい…強くなるっから！！こんどはまもるがら～！ごめんなざい～！！」
『大丈夫、今も臣くんは強いよ。
もっと強くなろうとするのは強いから出来るんだよ。
大丈夫、臣くんは頑張ってるもん。』
『臣くんはいい子だから、なかないで？ね？』
「っ…！！Aのバカぁ～！ズビッ…
おれだっで…ｽﾞｽﾞｯ…Aのこと、だいすぎなんだがらなぁ！！おれが…いちばんずきなんだかだなぁ！！ｽﾞﾋﾞﾋﾞｯ…」
『んふふ。ありがとう。私も臣くんが大好きだよ。
こんなに優しいお兄ちゃんだもん！』
「ｽﾞﾋﾞｯ…Aあでがとぉ…。」
そのまま忠臣は、Aの手を握って少しずつ泣き止むころに安心からかうつらうつらし始めた忠臣をみて、凛子が
「ふふっ、この子ったら、この2日ほとんど寝れてなかったのよ。
Aさんが傍にいたら安心するし、ここで少し寝かせてもいいかしら？」
『ええ。もちろん。私も安心できます。』
すると、実臣が、
「ほれ、忠臣よ、少しAの横で休め。お前も体を壊しては守ってやれんぞ。」
と畳のうえで正座のまま眠りそうな忠臣を横に寝かせてくれた。
「ほれ、2人とも。ゆっくり休むのだぞ。」
と、優しく頭を撫でられると、一気に気が抜けた。