【コンパス】君の成長、楽しみだ。【桜華忠臣】 (ページ28)

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最後の最後。2 ページ28

『！？そんなこと、あるの？』
「俺たちも、信じ難いとは思ったが、現にここにいる。」
「それで、どれほどたったかはわからないけど、少し前にこの空間にあなたは落ちてきたの。」
『…ここに？』
「おそらく、現実のあなたも相当な怪我ね。
結構深くまで1度沈んだのよ。でも、」
「急激に浮上した。おそらく、妖術の類だとは思う。」
『妖術？』

「この位置で、しばらくとどまっていたから少しだけ、顔を見ても…って、この人と、ね？」
「ああ。久しぶりの娘の実体なんだ、少しくらい、な？」
『？』
「A、もし良かったら、あなたの、今のこと教えてくれないかしら？」
「Aの成長も気になるからな。」
『…！うん！』

それから、この時代に飛ばされたこと、
その先に屋敷があったこと、
屋敷の主人夫婦とご子息が良くしてくれたこと、
刺客から、相棒達と主人を守ったこと、
ご子息から剣の師匠に、と選ばれたこと。

それ以外にも、普段のお手伝いや遊んだ内容や、
頑張ったこと…

話しているとき、2人はニコニコしながら、嬉しそうに聞いていた。

『それでね！れんったら、臣くんのときは鬼ごっこなのに、手加減してあげてるの！』
『屋敷の外はね！桜が綺麗だよって、臣くんや実臣様たち言ってたの！』
『臣くんね、優しくて、暖かくて…お兄ちゃんいたら、きっとあんなふうなんだね！』

「ふふ、Aは、臣くんや桜華ご夫妻が大好きなのね！」
『うん！みんな優しいの！』
「そうかそうか。…なら、そろそろ戻らねばな。」
『？』

「さっきも伝えたけど、ここはあなたのココロの中。つまり、あなたがココから本体に戻らねばあなたは目を覚まさないわ。」

『…！でも、父上と、母上と！まだいたいよ！！』
「もちろん俺たちもAと一緒にいたい。」
「でも、あなたを待ってくれてるひともいるのよ？」

「ほら。」

促され耳をすますと…

「A…。早く目を覚まして…！」
「忠臣、落ち着かんか。Aが心配なのは皆とて同じだ。」
「Aさんならきっと、戻ってきてくれるわ。」
「うん…」

臣くん、実臣様、凛子様…