【コンパス】君の成長、楽しみだ。【桜華忠臣】 (ページ17)

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もう、逃げない。ページ17

それから、私たちは、実臣様に夕餉をいただき、寝床を用意していただいた。

実臣様に
「A、疲れておろう、しっかり休むとよい。
きちんとねなさい。」

と、寝床に入れられた…まではよかった。

しかし、夕餉前にねいった時に見た夢…
それを思い出して、
《また…見てしまったら…》
《もうみんながいなくなるのは…見たくない。》

寝るのが怖くて、布団で寝返りをうつ。
何度もゴロゴロし、
《月を見れば…落ち着く？》

縁側にでると、
『綺麗な、月…』
綺麗な月が顔を覗かせている。
すると、
「ここから、見る月、すごい綺麗でしょ？」
『！？…おみくん？』
「ふは、びっくりしてる！」
『そりゃ、急に…』
「今日の月は、いつも以上に…綺麗だよ。」

『そうなんだ。』

私たちの屋敷の月も、綺麗にみえてたな…なんて、思ってると、
「…寝れないの？」
忠臣が、問いかけてくる。

『寝れない…し、寝たくないの。』
「なんで？」
『お昼…見た夢、また見そうで…』
「なら、こっちおいで。」

そう言って、手を引いていく、忠臣。

そして。

「ここ、俺のへや。」
『お、お邪魔します…？』
「こっち。」
そう言って、連れられたのは布団。
『な、んで…？』

「1人で寝ると、怖いけど、俺もついてるよ。ほら。」

そう言って布団で待ち構えてる忠臣。

『…ありがと、おみくん。』
そう言っってお邪魔すると、布団を掛けて向かいあう。

「大丈夫。おれが怖い夢から守るよ。」
そう言って忠臣は、Aを、軽く、抱きしめる。

すると、ふわりと、忠臣の寝巻きから、桜のお香のような、香りがはなをかすめる。

すると、すーっと、やってきた眠気に、抗えず…

『ありがとう…おやすみ、おみく…ん…』
「おやすみ。A」

二人して、直ぐに寝息をたてはじめた。

翌朝、布団に居ないAを探し、抱きしめられ眠るAを見つけ、

実臣様と、忠臣のお母様、凛子様がさぞ楽しそうに、「「これは…事実婚ね！」」と喜び、

「ち、違う！ただ、寝れないから！」
「あら！寝れないから、Aさんを抱きしめちゃったの？まあ！」

と止まらない実臣様と凛子様に、
『おみくんは寝れない私を守ってくれたんですよ！
優しいお兄様が出来て幸せです！！』
と、Aがいい、

(これは、忠臣が恋したら大変そうね。)
(まあ、いまは兄妹でも良かろう。)

((二人が幸せなら、な。))
とほほえむ二人だった。