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｢まだ始まってないって…いつ始まるんだよ｣
来は図書室の壁にかかっている時計を見上げる。
｢…後、五分後｣
これには私も驚いた。
｢｢はぁ！！？｣｣
｢五分後って…来、危険っていってたよね｣
｢うん｣
｢何があるか分からないのに…後、五分後？｣
｢うん｣
｢もうー…、どうすればいいのぉ〜｣
｢あんた、うるさくなったな｣
｢私も思うよ…。松下の前だけだよ、こんなうるさいの…｣
｢え、あんた俺のこと好きになるなよ｣
｢自意識過剰かッ！！好きになるはずないじゃん。出会いが最悪だったし｣
｢ずいぶん好き放題言ってくれるな｣
｢私だって昨日、好き放題言われた｣
睨みあっていると、来が間に入ってきた。
｢ケンカはしないで…。お願いだから｣
泣きそうな声だった。
なんで来が泣きそうなの？
疑問に思ったが、とりあえず松下から顔を逸らした。
｢ごめんね｣
｢後二分です…。大丈夫だと思うけど、一応壁によって…｣
壁？
向日葵と松下は来と一緒に壁に背をつける。
｢後三十秒…｣
来が呟く。
来は息をつめていた。
そのせいか、図書室の中の空気がはりつめている。
｢後五秒…。さん、に、いち、｣
その瞬間、学校中がドシンッと揺れた。
｢きゃっ｣
｢っ！｣
すごい揺れだ。
やがて揺れが収まった。
だが、今度は悲鳴が聞こえてきた。
｢きゃーーッ！！！｣
｢来るなァー！！｣
｢何が起こってるの…｣
向日葵の足はプルプルと震えていた。
｢始まった…｣
来は向日葵と松下の目の前に立つ。
｢笹井向日葵さん。松下海斗さん。あなたたち以外、全員、五分後には動けなくなります｣
来は司会者のように敬語で話す。
子供なのに大人びてみえた。
｢ここはまだ大丈夫です。すぐにここも危険になりますが…。説明します。さっきの大きな揺れ…、あれは人を食べる怪物が起きた音です｣
｢は？｣
松下が眉をしかめる。
｢なんだよ、それ｣
｢意味が分からなくても当然です。信じられないかもしれませんが…その怪物は人を食べることを主食としているんです。今は、学校内にいると思います。数は一匹。向日葵さんと松下さんはその怪物を殺さなきゃいけない｣
来は目を伏せる。
｢じゃなきゃ、人間は全滅してしまいます。向日葵さんと松下さんは選ばれた人なんです。二人にはそれぞれ、その人にしかない特別な力があります。それで、怪物を殺してください｣
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月5日 12時
