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「へ?」
來夢は自分の顔に手をあてて、あ、となり慌てた。
「や、そのっ…カゼの話の内容に笑ったんじゃなくてね…カゼが話してくれたのが嬉しくて…」
「顔見たら笑ってたから驚いた」
「ご、ごめんねっ」
カゼはうつむく。
「…話聞いて、どう思った?」
「え?別に何も思わなかったけど?」
「は?」
あれ、俺何かおかしなこと言ったかな。
「カゼがそうしたいと思ってるならやればいいと思う」
カゼは呆然となり、そして笑い出した。
「ククッ。やっぱり、來夢は面白い。そんなこと言われると思ってなかった」
カゼが笑ってくれたのが、來夢は嬉しかった。
「…俺、水持ってくるよ」
「いい。立てるから、自分で取りに行く」
カゼが立ち上がるのに來夢は止めなかった。
言っても聞かないと分かっているから…。
「俺も諒さんにカゼが目を覚ましたって言わなきゃ」
二人でリビングに行くと諒さんはもう起きていた。
早っ。
「お。來夢くんとカゼだ」
「カゼって言うな」
「いいじゃん」
「…チッ」
カゼは諒を避けてキッチンに向かった。
「よかったねー、アイツが目、覚まして」
「はいっ。諒さんも本当にありがとうございました」
「別にー。あんだけの大金を用意したのは來夢くんじゃん。俺は道具を用意しただけー」
「何だ、大金って」
カゼが戻ってきていた。
「カゼを助けるために來夢くんが500万集めたんだよー。たったの5時間でー」
「500万を…?」
カゼの視線が諒から來夢へと移る。
來夢は怖かった。
「なんかー、演技して財布ないふりをして、地道に集めたんだって。來夢くんスゴいよねー」
諒は來夢の頭を撫でた。
諒が來夢によくすること。
だが、また來夢はビクッとなってしまった。
「…ふーん。來夢、ありがと」
來夢はブンブンと首を振る。
「助けたかっただけだから…。俺、部屋戻るね」
足早にその場を離れる。
カゼの視線に耐えられない。
バレたくないから…。
俺がやられたこと、やったこと、誰にも絶対に知られたくない!
ベッドに寝転ぶ。
触られるの…怖いなぁ。
「來夢」
いつの間にかカゼが部屋に入ってきてた。
「な、何…?」
カゼが近づいてくる。
っ!
來夢は本能でバッと布団を被った。
「俺、眠いから…もう寝る」
バサッと布団をはがされた。
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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時