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カゼは口を開いた。
「へー…、來夢って役者の才能あったんだ」
來夢は顔の前で手を振る。
「そんなっ。…才能なんてないよ。役者になりたいと思ったことないし」
「演技の練習も?」
「ないよ。ただ、一年ぐらい前に読んだ本で、どんな役にもなれるっていう男が出てきて、俺もできるかなって思っただけだよ」
カゼはお金をポケットにしまった。
それだけであんな演技ができるとは…。
「役者になればいいじゃん」
「無理だよ!顔もカゼみたいによくないし」
「俺は普通より上ってだけだ。すげぇカッコいいというワケじゃない」
「自分で言うんだ…」
「自分がどの辺りのレベルなのか、とか分かってた方がいい。損するからな。言っとくけど、別にナルシストじゃない」
「うん。それは分かってる」
「お前も自分がどういう位置につくのか、分かってた方がいいと思うけど」
「そんなの分からないよ…」
「來夢は可愛い顔してる。演技はテレビに出てる役者よりも断然上手い」
「可愛いって言われても…男なのに」
來夢はしゅんとなった。
「でも、誉められるのは嬉しい。ありがとう」
カゼは食料が売ってる店へと歩き出す。
來夢もついていく。
「他人のお金だから…しかも騙して貰ったのだし。だけど、カゼと俺で二人になったからお金足りなくなったらって思ったんだけど…」
「いや。それでいい。ここじゃ、騙すとか当たり前だし。來夢、覚えとけ。いい忘れてたが、殺されそうになったら、殺られる前に殺る。いいな」
カゼは、自分のことは自分で守れって言いたいんだ…。
頑張ろう。
「お金、それで何日もつ?」
「來夢が合計で50万貰ってきたからな。4、5ヵ月はもつ」
「よかった…」
「來夢、服持って来てるのか?」
「え、全部棄てた」
「買わないとな」
「…ごめん」
「謝るな。それに、この大金は來夢の収穫だ」
俺達は服を適当に買って、食料も買った。
「重い…」
持ってる袋の数、4袋。
キツい…。
カゼは來夢よりも1袋多く持っている。
なのに軽々と…、來夢とは大違いだ。
「それぐらい、持て」
「うん…」
「あ、でもコイツ、ガキか。しょうがない、一袋持ってやる」
ガキ?
「ガキじゃないし」
來夢がそう言うと、カゼは『何言ってるんだ、コイツ』という目で見てきた。
「お前、中学生だろ」
中学生!?
「違うし!!」
來夢はムッとなった。
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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時