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「あ、あの…」
「ん?」
カイは目を見開いた。
「ぼ、僕の…お姉ちゃん来なかったですか?」
「キレイな女性のかただな。来たよ」
「こ、ここで、約束、してたから…」
「なら、来るまでここに座りな」
カイは自分の隣をポンポンと叩く。
「お、おじゃまします…」
隣に座る。
「これ、飲んでいいよ」
水を渡される。
僕はコクコクと飲んだ。
途端にカイが耳にボソッと呟いた。
「演技、上手いね」
來夢はビクッとなり、素に戻った。
何でバレたの!?
別に自分の演技が上手いとは思っていない。
けど、今來夢が演じてたのは自分と性格がまったく一緒の人物だ。
なのに…バレた。
「女性のは最初信じたけどね。実は私もそこそこ演技が上手いみたいなんだ。君の方が上手いみたいだけど。私が男の話をした時、一瞬だけど素に戻ったのかな?女性だったのに、男の子の姿に見えたから」
そんな…。
「金目当てみたいだから、札束落としてもう一度来るように仕向けた。そしたら、立て続けに来たから」
來夢は逃げようと、立ち上がる。
けど、立てなかった。
フラッとイスに倒れた。
カイは口元に微笑を浮かべる。
「腕と足が痺れるんじゃない?力、入んないでしょ?」
その通りだった。
ふと、來夢が飲んだ水に視線を移した。
「正解。水に薬仕込んだ」
頭がボー…とする。
「さ、来てもらおうか」
背負われる。
「ど、こに…?」
「キスまではいいんだよね?お金はちゃんと払うよ」
逃げたい。
逃げれない。
來夢を連れ、向かった場所は高そうな所。
建物内に入り、その中の一部屋に入る。
「ここは俺が泊まってるホテル」
カイは來夢をベッドの上に座らせながらそう言った。
來夢は指を動かそうとする。
あ。
薬の効果が切れてきたのか、痺れが大分落ち着いた。
薬は少量しか入ってなかったようだ。
カイが來夢から一瞬視線を逸らす。
來夢はそのスキを見逃さず立ち上がって走り出した。
カチャ
「逃げたら撃つけど」
來夢の足がピタッと止まる。
恐る恐る振り返ると、カイが來夢に向けて拳銃を向けていた。
あんなの…逃げれないよ…っ!
「金はいいの?欲しい理由があったんじゃないの?」
カイの言葉に來夢はハッとなる。
そうだ。
カゼを助けるんだ。
カイは拳銃を下げた。
「こっちに来い」
來夢は黙って従う。
カイの目の前に立つ。
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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時