覚えてたいな ページ14
本丸に顔を出しに行った後、僕はシャトーへ帰り、翌日。
鈴屋班との会議が行われ、ナッツクラッカーとビッグマダムは繋がりがあり、人を攫ってオークションの品を集めているという話が出た。ビッグマダムといえばCCG内でも知られている悪名高い喰種だ。
(思ってたよりも、大きな捜査になりそうだ。とは思ったけど……)
僕は今、瓜江君以外のクインクスメンバーと女装してクラブに潜入している。昨日シャトーにいた時、ハイセンセに集められ、こう言われた。
「僕らは女になる」
その一言で僕らは女装する事になり、クラブに居る。
六月君と才子ちゃんが離れている間、僕や不知君、ハイセンセは壁際に寄り、全体の様子を観察しながら話をしていた。
最初は働かない才子ちゃんへの指導や才子ちゃんの両親の話をしていたが、不知君がある質問を僕達に投げかけた。
「二人はもし、記憶が戻ったら……捜査官……やめちまうのか？」
不知君の問いに、僕達は一瞬黙り込んでしまったがハイセンセが「なに？寂しいの？」と茶化すように言い、「ち、ちげーよ」と不知君は直ぐに否定した。
「サッサンがいなかったら、瓜江の馬鹿がチョーシこくだろ。サッサンがいない時は焔にだってサポートしてもらってるし、才子や六月のことも気にかけて面倒見てくれてるから助かってるし……」
僕は何も答えられなかったが、ハイセンセは何処か悲しげに微笑みながら「やめないよ。……“僕”は」と答えた。
僕には、ハイセンセの言葉が何を意味するのか何となく分かった。
(“佐々木琲世”は捜査官のままだろうけど、記憶が戻った貴方は……。いや、貴方だけじゃない。僕もだ)
そんな話をしていると、才子ちゃんがやってきて六月君がお酒を飲んで酔ったと知らされ、後から酔った六月君がナッツクラッカーへのアプローチが成功したと聞かされる。
盛り上がったクインクスの三人は踊りに行ってしまい、僕とハイセンセだけが取り残された。
楽しげに愉快にダンスをする三人をハイセンセが黙って見つめるので、何となく僕はハイセンセに聞いてしまったのだ。
「今、何を考えてますか」
「……少し、ね」
「話したくないならいいけど、僕も一応……貴方と同じ、ですから」
「……うん、そうだったね。……さっきの不知君の質問について考えてたんだ」
「記憶が戻ったらの話ですか？」
「そう。……もし、記憶が戻ったら……
(あぁ……やっぱり……)
「……僕もです。六出焔として彼等と過ごした日々は、忘れたくありません。例え、今の僕じゃなくなったとしても」
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氷華(プロフ) - はじめまして、とても面白い作品だと思いました。更新されるのを心待ちにしています。頑張って下さい。 (2月21日 14時) (
レス) id: 938924d105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅鶴 | 作成日時：2021年11月24日 12時
