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ボイトレの帰り道。買わないといけないものを思い出して、セゾンアヴェニューに立ち寄った。普段は、ESアイドルがわんさかいるであろう場所には寄らないんだけど、必要なものだからと足を踏み入れた。マスクもしてるし、帽子も被ってるから、遠目からみたら俺だってバレないはず。
夜だから、人は疎らで、歩きやすかった。
『……あ、落としましたよ。これ。』
「わわぁ、、ありがとうございます、
……………宮方先輩」
『影片、』
前を歩いていた人のカバンから落ちた装飾品を拾って渡せば、その相手は、宗と同じユニットの後輩、影片だった。後姿だけだったから、影片だって気付かなかった。
「宮方先輩、久しぶりなはずやのに、テレビで見てるからそんな気全然せぇへんわ」
『見てくれてるんだ、俺の事。』
「当たり前や〜。先輩は夢ノ咲の生徒にとって憧れやったし、お師さんのお友達やし。」
『ありがとう。
俺も、お前らのこと見てるよ。影片だって、この前のドラマ、今までのドラマよりも演技力が上がってて驚いた。』
「え、宮方先輩も見てくれてんの?!嬉しいわぁ。やっぱ、先輩が俺らのこと避けてるなんて噂、嘘やったんやなぁ。」
『避けてる?俺が?』
「そういう噂が、ES内にあるんよ。先輩、今までESアイドルと共演したことないやん?それで、」
なるほど。事務所の気遣いは、こういう風に悪い噂をたてられて独り歩きしていたのか。でもまぁ、あんな辞め方をしたら、そんな噂もたてられる。
「まぁ、誰も、本気にはしてへんと思うで。」
『ならいいんだけどな』
「なぁ、宮方先輩。なんで、先輩はアイドル辞めちゃったん?」
『……言えない。ごめんな。』
「お師さんには言ったのに?」
『……聞いたのか?』
「先輩が辞めた理由は聞いてへんよ。お師さんが知ってることだけは知ってる。
なんでお師さんには言えて、俺には、俺らには言えへんのや」
『………』
「なんで何も言ってくれへんねん。なんで、教えてくれへんねん。俺に教えてくれへんのは分かるけど、なんでなるちゃんとかKnightsのみんなにも言わんのや?!」
『………言わないんじゃないよ。言えないんだ。』
諦めたような笑顔を影片に向ければ、酷く苦しそうなオッドアイと視線が交わった。影片は、何も言わないで、行ってしまった。
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アメりんご(プロフ) - 更新お疲れ様です、これからもずっと大好きです!応援しています (3月2日 16時) (レス) @page32 id: d53049814f (このIDを非表示/違反報告)
Ria(プロフ) - 更新ずっと待ってました。『元、Knights』がこれからどのように物語が進みどのような結末を迎えるのかすごく楽しみです。早く続きが読みたいところですが、これからまた更新を再開するとの事なので次の更新を楽しみに待っています。これからも頑張ってください。 (2月28日 20時) (レス) @page32 id: 37954a0177 (このIDを非表示/違反報告)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月18日 1時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
りいう。(プロフ) - 同じKnightsの小説を書いていますが、キャラたちの思いが交錯する文章を見ているとどっちに肩入れしたら良いかわからなくなる謎な臨場感がとても素晴らしいと思います。これからもがんばってください! (7月16日 20時) (レス) @page29 id: 0584eb06ca (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - コント失礼します。読み進めていくたびに面白さが増していって読んでいて楽しかったです。どんな展開になるのかワクワクです。 (2023年1月4日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はに | 作成日時:2022年11月19日 17時