少女の演ずる人形劇-マリオネット- (ページ10)

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第10話ページ10

あれから数日。

警察に事情を話すと、表面上は理解したフリをしてくれた。
けれど、結局は信じている様子なんてない。
錯乱したとか、その程度にしか思っていない。
だから警察には期待せず、自分でなんとかすることもできないから放置するしかなかった。

その後茉依と会うことは無く、私は平和に学校に通っていた。
恵美は……まだ、家を出ることができていないけど。

結局、恵美のご両親は意識不明の重体。
救急車を呼ぶのが遅すぎたらしい。

「鈴音先輩」

そう呼ばれて振り返ると、ブロンドの髪を三つ編みに結った美少女……ひかりがこちらを見て立ち止まっていた。

「ひかり、おはよう。部活は？」

「はい、今日はお休みなんです。恵美先輩がいらっしゃらないので……」

「あ……そっか……」

「す、すみません、無神経なことを……！」

「ううん、気にしないで」

校舎に入ってひかりと別れると、教室に入る。
教室はいつも通りで、あのことが余計に嘘みたいに感じる。

「おはよー、黒崎」

「おはよう、蒼月(あつき)」

ブロンドのくしゃっとした髪のイケメンにさっと挨拶をして席に座り、プリントの整理と今日の分の教材。

荷物は直ぐにまとめて仕舞い、シャーペンと消しゴム以外の文房具は机の中に。
一通り準備を終えたら、ノートを開いて復習開始。
予習復習はしっかりしないと、授業に追いつけなくなったら大変なのは自分だし。

「なー、黒崎。ひかり最近どんな感じ？」

また蒼月に声を掛けられる。
最近よく絡んでくるこのイケメンは、ひかりの兄。
兄だけど、ひかりとはあまり話したりしないらしい。

「どうって？」

「俺と話せなくて寂しいーとか言ってる？」

残念系イケメンとはこのことだと毎日感じる。
ナルシストで面倒臭がり屋でズボラ。おまけにサボり癖がある。飽き性。
本当、つくづく残念。

それでもモテるんだから不思議なものだけど。
金髪ってだけで良いのかも。

「言ってない。というか、話さないのは前からでしょ？」

「言ってないのかー……なーんか寂しいなー」

駄々をこねる子供のように寂しがる蒼月を見て、とりあえず今日の放課後話させようと決意した。

というか、なぜ兄妹なのに話さないんだろう？
そんな疑問の答えは、兄妹を持たない私に出せるはずもなく。
ただ問題集を解きながら、授業が始まるのを待った。