第6話 ページ6
「あーやのちゃん」
突然うしろから声をかけられて肩がビクッと震える。
とても愛らしく、透き通った、天使みたいな綺麗な声。
「なにしてるの？」
にこにこ可愛らしく微笑む、10歳前後の女の子。
「ちょっと書類の整理を……今度、新しい子が来るみたいなので」
そういうと両手の指を胸の前でクロスさせ、嬉しそうに目を輝かせた。
「ふふ、鈴音ちゃんたちのこと？」
「あ……はい」
鈴音という名前にドキッとする。
彼女の苗字を、
何故かはわからないけれど、そう言われていた。
「そんなにかしこまることないよ。私たち、もう"ともだち"なんだから」
ともだち。
亜依さんにそう言われたのに、全然嬉しくない。
本当の意味での友達なら、飛び上がるほど嬉しいのに。
「しゃべりかたも普通でいいよ」
にこっと微笑む。
可愛らしい、と心底感じる。
「う、うん……わかった」
「あ、そうだ。
ハッとしたように手を合わせて、それらしい表情をする。
それが演技だとわかっていても、微笑ましかった。
「な、なに？」
「ふふ、あのね？ ともだちになったばっかりだから、私まだ彩乃ちゃんのことよく知らないの」
そう言うと、亜依さんが落ち込むような素振りを見せる。
演技でも心底嬉しい。
よく知らない、と。
それで、こんな風に落ち込む素振りを見せてくれたのが。
「だから、次のおしごとはいっしょにしない？」
子供が遊びの提案をするときのような、楽しげな素振り。
百面相。
ああ、本当に可愛らしい……。
「いい？」
顔を覗き込まれてハッとする。
「え、あ……」
問いをかけられていたというのに、それに気付かないほど見惚れていたなんて……。
「うん……大丈夫、だよ」
「わあっ、本当？ ふふ、とっても嬉しい。次のおしごとが楽しみになっちゃった」
にこにこ、「またね」なんて嬉しそうに笑いながら。
本当に可愛くて、愛おしくて……。
つい見惚れてしまうのも、きっと仕方のないことだ。
そう感じるほどに、愛らしい＿＿。
「おしごとのこと、わかったらまた来るね」
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作者名：うさぎ@りんご飴 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/47e05267373/
作成日時：2016年12月7日 19時
