少女の演ずる人形劇-マリオネット- (ページ4)

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第4話ページ4

恵美のご両親がお休みで、初めて恵美と恵美のご両親、恵美の弟、私の五人で過ごす。
恵美の弟の春樹(はるき)とも、恵美のご両親とも会ったことがあったからそこまで緊張はしていないけど……心配事があるとすれば、いま茉依が来たら春樹はまだ小学生だから危ないんじゃないかということ。

もし茉依がただの子供じゃなかったら、春樹がきょう家にいるのを知っているかもしれないし……。
心配しすぎているのかもしれないけど、そうわかっていても不安感は拭えなかった。

みんな各々、ゲームをしたり携帯をいじったりして半日を過ごした。
恵美の家族はみんなアクティブな方だから、本当だったらみんなでお出かけでもしていたのかもしれないけど……私がそういうのを好きじゃないから、それをわかっていて遠慮してくれているのかもしれないと思うと気がひける。

ただただ静かに過ごしていると、チャイムが鳴った。

恵美が肩をビクリと震わせ、それを見た春樹が恵美に駆け寄る。
恵美のご両親の様子を見る限り、きょう誰かが来る予定は無かったらしい。

茉依だ。
証拠も根拠も無いけど、そう感じた。

恵美のお父さんが扉を開ける。
隙間から覗き込むと、いかにもお嬢様といった風貌の少女が立っていた。

年齢は茉依より少し高いくらいに見える。
茉依のようなあざとさや冷たさ、幼さなどは感じない。
特に気にかけることはないはずなのに、この歳の金髪の女の子はどうしても目に止まった。

そして、何より目の色が印象的だった。
若葉色の透き通った美しい瞳。吸い込まれたら出てこられなそうな、そんな瞳。
茉依のときにそう思ったのを覚えている。

この子も、茉依と同じ目をしていた。

「突然すみません、小鳥遊と申します。不躾なお願いですが、少しお邪魔しても構わないでしょうか？」

口調や声は茉依と違う。
性格も、態度も、服装も違う。

それなのに、どうしてか茉依と重なる。
突然訪ねて来た小学生だからか、金髪の子供だからか、同じ目をしているからか……。

「あ……ちょっと待ってね、聞いて来るから」

恵美のお父さんが少女を玄関に入れて一旦リビングに戻り、恵美のお母さんを連れてまた玄関に帰って行く。

映画を見ているようで、実感が湧かなかった。
一週間前の茉依のことはもちろんだけど、今でさえ実感が湧かない。

しばらくボーッとしていると、玄関から何か音が聞こえた。

突然。

グサ、と、肉を裂くような音が。