第11話 ページ11
放課後、蒼月に事情を説明してひかりの部室に向かった。
蒼月は、周りの生徒から変な目で見られるくらいにそわそわしていた。
「ひかり、いる？」
部室のドアを開けて声を掛けると、すぐにひかりが出てきてくれた。
「お、お兄ちゃ……！」
「ひさしぶりだなー」
嬉しそうに笑う蒼月と対象的に、かなり慌てた様子のひかり。
どうやら、避けているのはひかりだったらしい。
「あ、えと……ごめんなさい、私……ちょっと帰りますね……！」
「ひかり！」
そう言うと、そそくさと荷物を持って部室を飛び出して行ってしまった。
あんな風に焦ったひかりは見たことがない。
もしかしたらなにかあったのかもしれない。
茉依にあってから、いつも疑心暗鬼になってしまう。
「あ……なんかしたかな、俺……」
寂しそうな蒼月。
ひかりが悪いわけじゃないけど、蒼月が可哀想になる。
「大丈夫だよ、関係無いことじゃない？」
「前はこんなことなかったんだけどなー……」
ひかりと蒼月の仲が良くないのは昔から……それこそ、幼稚園とかそんな頃からずっとらしい。
それで、突然態度が変わるなんてことあるのかな……。
「まあ、しょうがないかー……ごめん、黒崎。巻き込んじゃって……」
「あ、いや……良いけど……」
「……」
見るからに落ち込んでいる。
どうして避けたりしたんだろう。
ひかりは、蒼月と何かあったのだろうか。
「……またひかりと話してみる。もしかしたら、何かあったのかもしれないし」
＊
夜、ニュースをぼうっと眺める恵美。
あれから、恵美はずっとあんな風で会話もままならない。
仕方がないことだけど、少し寂しくはある。
同じ家に住んでいるのに、会話すらできないなんて。
「恵美……」
声を掛けても、返事はない。
反応はあるからきっと聞こえてはいるんだろうけど……。
「……おやすみ、恵美」
挨拶をし、自室に戻ってパソコンを開く。
もしかしたら、茉依が話題になっているかもしれない。もしかしたら、何か情報があるかもしれない。
そう思って、いろいろなワードで検索をかけた。
けれど、今まで収穫は無し。
またワードを変えて検索する。
『名前を変える 女の子』で検索をかけると、それらしい情報がヒットした。
『女の子を一日好きにできる店があるらしい』というタイトルで立てられたスレッド。
あまりスレッドを見るタイプではないけど、迷わずタイトルをクリックした。
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作者名：うさぎ@りんご飴 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/47e05267373/
作成日時：2016年12月7日 19時
