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にじゅうよん.黒く滲んだ ページ17

あれから考えすぎるのも嫌になったので、料理の手伝いをした。
働き過ぎて長谷部さんみたいになりそうだなぁ、と自分で思いつつあるが、止めない。

因みに今、見習いさんは主様に色々と指導して貰ってる。


燭台切「いやぁ、主も遂に見習いを送られる様になったなぁ。それほど成長したって事だよね!」

堀川「そうですね、一部では、見習いを送られるとベテランって言われてますからね。」


正直、見習いさんは苦手なので、今すぐこの場から去りたい。
だがこんなキラキラした目で話をされると、どうも此処で去るとなぁ。

なので私は、出来るだけ会話には参加せず、唯黙々と作業をしています。


『……あ…』


やっぱり嫌って言う気持ちがあるからか、包丁で手を切ってしまった。何時もやらないミスだなぁ……

これ位で、生存に関わる事はないと思うので、舐めて消毒しておく。
絆創膏もいらないし、放っといても問題ないだろう。

もやもやした気持ちのまま、料理を続けた。


***

そんな時間も過ぎて、宴の時間になった。

しかし私は、今の気持ちで参加しても楽しくならないと思ったので、皆と離れた縁側で、静かにお酒を飲んでいる。

今日は頭使ったからなぁ、名一杯休もう。
そう思い、お酒を注いだ器を持とうとしたら、指に静電気に似た痛みが走る。


『……何、これ……?』


それは、料理をしてた時に包丁で切った傷だった。
こんなに時間が経ってるなら、普通はもう血が止まってる筈だ。

なのにその傷は、再び血を流していた。
それだけじゃない、血が黒いのだ。

漆黒なんてものじゃない、邪気と戦った、あの何も分からない空間の様に真っ黒だった。

可笑しい。
胸騒ぎがする。

__これから、何が始まろうとしているの_?


「おや、血を流してるじゃないですか。」

『っひゃっ?!そ、宗三さん……』


あれこれ考えていたら、後ろにいた宗三さんに気付かなかった。
お化け見たいな目で見ないで下さい、と宗三さんは言い、絆創膏を取り出す。

そして私の手を強引に引っ張ったかと思えば、その絆創膏を貼った。


宗三「全く、幾ら切傷でも放っとくのはどうかと思いましたよ。」

『そ、それはごめんなさい…』

宗三「…それで?何かあったんですか?
それ、刃物の傷でしょう。でも、出陣じゃ希にしかつかない傷です。
だとすると、料理でついた傷でしょう。何かあったんです?」


わぁ、あっさり推理されてる、凄い。

…この人なら、言っても良いかな。

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作者名:赤林檎 | 作成日時:2019年2月16日 17時

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