無知な天使はその日旅立つ【浦/島/坂/田/船】 (ページ5)

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「お前…シルエだっけ？…本当に良かったのかよ。嫌ならはっきり断っても良かったのに…」

城下町への道を歩きながらうらたさんが言う
名前覚えられてた…まぁいいけど

『今更ですか？もう決めたことです。うらたさんだって私を連れ去りに来たんでしょう？』

「そうだけど…」

『ならそんなこと聞かないでください。少なくとも私は外に出られて嬉しいです』

「ふーん」

興味無さそうにふいと横を向くうらたさん
いや､あなたから聞いてきたんでしょう。私は普通に返しただけなのになんでそんなに興味無さそうなんですか

『そういえば､私達どこに向かっているんですか？』

城の敷地内から出てからかなりの距離を歩いている。多分。
そこから目的地も知らされず､ずっと歩かされているのだ

「ん～…とりあえずは城下町に行って…”坂田”がつくった魔法陣探す。んで地上に行く」

地上か～いつか行ってみたいと思っていた場所だ
あ､皆さんお察しのとおりここは天空の国…つまりこの国は上空にあるため地上に降りる方法は
1.飛び降りる(決してﾀﾋにに行く訳では無い)
2.ドラゴンに乗る
3.魔術師の力を借りる
と､この3択しかない
うらたさんが言っていた「坂田」という人はおそらく魔術師なのだろう

「おい､着いたぞ。…多分路地裏とかにあると思う。探そ」

考え事をしている間に城下町に着いたらしい
うらたさんに促され人目につかない路地裏や建物の影に魔法陣がないか探す

『あ…これじゃないですか？』

「あーそう､それ」

捜索開始から数分後
商店の裏にある物陰に赤く光る魔法陣を見つけた
うらたさんに早く行きましょう､と言おうと振り返る
すると何か暖かいものが私の頭に乗っかった

「ありがとな｡俺こういう捜し物するのとか苦手なんだよ…」

その暖かいものがうらたさんの手だと理解した私は顔が熱くなるのを感じた
対するうらたさんは笑みを浮かべながら私の頭を雑に撫でている

『……いえ』

「もしかして照れてる？w可愛いところあんじゃん」

今まで私が無愛想だったと言いたいんですかそうですか←
確かに少し素っ気ない態度をとっていたかもしれないがまだ私はこの人のことを詳しく知らないため仕方がないと言うものだ

『うるさいですね行きますよ』

うらたさんの手を退け魔法陣の上に乗る

「ちょ…分かった分かった…。もうちょっと愛想よくすれば可愛いのに…」

『なんか言いましたか？』

「いーやなんも」

ここから私の旅が本格的に始まります─