3.〜常夏の国〜 ページ11
「坂田、ちょっと」
「うらたさん?どうかし……ったあ…!」
ただいまの時刻午後20時。船は常夏の国の浜辺に先端部分を乗り上げて止まっている
その船の中では…
「いってぇ…ちょ、いたいいたい…うらたさ〜ん助けてぇ…」
「なにやってんだよ坂田…ちゃんと下見て歩けよな…」
「何やっとんですかもう…よい…しょっと…」
今、何が起きているのかと言うと…
床にいた水龍の子どもの尻尾を思いっきり踏み、それに驚いた水龍が坂田さんの足首に噛み付いたのだ
まだ子どもとはいえ牙はしっかりと生えているらしく、センラさんが水龍を退けたところ…噛み付かれた足首を見ると出血していた。
『…坂田さん、大丈夫ですか…?』
「ん…まぁ大丈夫……ちょっと痛いけど」
坂田さんはそう苦笑混じりに言ったが座り込んで傷を押さえている手の指の隙間から1滴、紅い雫が滴り落ちた。
『…ちょっと、見せてください』
「え、あぁ…うん」
手を退けてもらい長いローブの裾をすっと上げ足首を見せてもらう。傷は浅いが血が多く出ている。
『…センラさん、薬草ってあります?』
「うん。倉庫部屋にあったはずやから…ちょっと」
「センラ、待って。そんならおれがやった方が速い……えっと…これ…かな。…よっ」
白い煙を上げて坂田さんの手のひらから出てきたのは、薬草らしきもの。
「…やっぱ魔法って便利やんな〜…僕も使ってみたいですわぁ…」
「シルエちゃん、ほい。これでええ?」
『あ、はい。ありがとうございます…怪我、してるのに』
魔術を使う人は怪我をしていると普通の人は体力が減るように、魔力がどんどん下がっていくのだそうだ。
「これくらいだいじょーぶ!おれの魔力値なめんといてや」
どやぁと効果音がつきそうな表情でこちらを見上げる坂田さん。なんだか可愛く思えて少し笑ってしまった
『ふふっ……少しじっとしててくださいね…』
水を持ってきてもらいそれで血を洗い流す。傷に滲みたのか「いっ…」と声を漏らす。次に薬草を手でちぎり傷口に当て近くにあったなるべく柔らかそうな布で少しきつめに縛った
『終わりましたよ…立てますか?』
「ありがと…よっ…と」
私が坂田さんの手引くと若干ふらつきながらも立ち上がった。
が、流石にまだ痛むのかよろけて私の方へ倒れてきた。
『うわ…』
どんっという音がして背中に鈍い痛みが走った。腹部に重みを感じ瞑っていた目をゆっくり開けると目の前に紅く輝く瞳があった
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*ぜぶる*(プロフ) - はい◎楽しんでいただけたら幸いです…! (2019年4月6日 17時) (レス) id: dc80dfc2f9 (このIDを非表示/違反報告)
nanohana1448(プロフ) - *ぜぶる*さん» そうなんですか! (2019年4月6日 17時) (レス) id: 0aec07dd47 (このIDを非表示/違反報告)
*ぜぶる*(プロフ) - nanohana1448さん» そうです!2018年のうしさせハロパ衣装見たときにふと思いついたので… (2019年4月6日 17時) (レス) id: dc80dfc2f9 (このIDを非表示/違反報告)
nanohana1448(プロフ) - もしやこれ、メルスト参照ですか!? (2019年4月6日 14時) (レス) id: 0aec07dd47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*ぜぶる* | 作成日時:2018年11月21日 22時