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「ごめんね、本当に」
涙に濡れた樹はいいから好きに抱いてください、と言ってもう一度俺を受け入れ直してくれる。
ゆっくり腰を動かせばその動きに合わせて快感に歪む樹の綺麗な顔。俺で感じてくれてるんだと思うと嬉しいけど、もう前みたいに笑ってくれることはないのかなって思うと悲しくなった。
「んっやぁ、ぁあ」
「ここトイレだから声抑えて」
口の中に三本指を入れて、開きっぱなしになった顎を親指で支えて声が出ないように押さえる。
「ん〜っんんっん、ぁんっ〜」
壁に向かって白濁を吐き出すと、腰を支えていた俺の腕に全体重をかける樹。
「ごめんね、大丈夫?」
もう俺の手がなければ立っていることすら出来なそうで、体を綺麗に拭いた後にズボンを元通りに直して蓋を閉じた便器に座らせた。
「なんで、俺なんですか」
樹の出した物を拭いている俺に向かって樹が聞く。そりゃあそうだよね、急にこんな男に抱かれてびっくりだよね。
「…好き、だから」
言ってしまった。口に出してからそう思った。もう手遅れだと思うぐらいにこじらせた果てにこんな最悪の状況で告白した自分が嫌だ。重たい沈黙が流れた後にトイレのドアが開く音がした。
「すいません、入ってますか」
「あ、今出ます。少し体調崩してて」
なんでもないように樹がそう答えて鍵を開けて出ていく。その後に俺もついて行くけど、重たい空気が変わることなんてなかった。
「帰ろうか、お会計してくる」
俺も払います、と言う律儀な樹を制して1人でレジへ向かう。
お互い徒歩で帰れる距離では無いのでタクシーを呼んだけど、1台でよかったのだろうか。ダメだよな、俺は歩いて帰ろう。
「大丈夫?」
「はい」
「1人で帰れる?」
「健太さんも、乗っていけばいいじゃないですか」
グイ、と手を引かれて俺もタクシーに乗り込む。本当にいいのか、と顔を見れば何も言わずにただ運転手さんに住所を伝える樹。
「ありがとうございました」
タクシーから樹が降りていく。窓ガラスからすっと消えてしまう人影。
「樹?」
心配になってタクシーから降りるとすぐそこにしゃがみこんでいる樹がいた。
「大丈夫?樹?」
「お腹、痛い」
俺が中に出したせいだと思った。樹は相当下しているのか額に脂汗を浮かせて苦しそう。
「ちょっとまってて」
タクシーに戻り、お金を払ってから樹の元に戻ると地べたに座ってしまっていた。
「ごめんね、部屋まで連れていくから。体預けていいよ」
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ぶろっこりーすぷらうと(プロフ) - チキン南蛮さん» わかりました!大分お時間かかるとは思いますが気長にお待ちいただけるとありがたいです!! (2020年7月26日 19時) (レス) id: 4144423752 (このIDを非表示/違反報告)
ぶろっこりーすぷらうと(プロフ) - 桃佳さん» ありがとうございます!!めちゃめちゃ嬉しい言葉ありがとうございます^ ^ (2020年7月26日 19時) (レス) id: 4144423752 (このIDを非表示/違反報告)
チキン南蛮(プロフ) - コメント失礼します!颯太×北人、北人受けの裏見たいです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 0efd2edd0b (このIDを非表示/違反報告)
すずまる(プロフ) - ぶろっこりーすぷらうとさん» 自分でも引いちゃう気持ち悪さ笑 最高です!続編楽しみにしてます! (2020年7月4日 11時) (レス) id: d46d4b09ae (このIDを非表示/違反報告)
桃佳(プロフ) - めっちゃ良かったです!ありがとうございます! (2020年7月4日 7時) (レス) id: e7edfdbe3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶろっこりーすぷらうと | 作成日時:2020年5月16日 19時