どうしようもないぐらい ページ38
電気も何もついていないこの家は
恐ろしく静かだった。
私が帰ってくるのを、この暗闇の
中でジスはずっと待ってたのかな。
泣き崩れた私を冷めた目で見たジスは
そのまま部屋へと去ってしまった。
涙は止まらなくてどうしたらいいかも
わからない。
こんなことは初めてだった。
私の涙を拭ってくれるのは
ジスしかいないのに。
立ち上がった私はジスの部屋まで
向かう。
いつも自由に開けているこの扉を開けるのが
できなくて、ずっとそこに固まったまんまだった。
「A」
そんな時、中から私を呼ぶジスの
声が聞こえた。
「そこにいるんでしょう。わかってるよ」
ドキッとした。
昔からジスは私の行動をわかりきっている。
「俺が今から言うことちゃんと聞いて」
心臓がどくどくとうるさい。
今日は本当についていない日だ。
早くジスに抱きつきたいのに、
ギュッて、したいのに。
―「好きだよ、A」
確かに、この部屋の中から
その言葉が聞こえた。
声が出ない。
ジスのその声は、本気だ。
何年も一緒にいたらわかる。こんな時に
ふざけたりなんかしない。
「ずっとAだけが好きだよ。どうしようもないぐらいに」
そして開かれた扉。
目の前には、私の大好きなジス。
これって、夢？
もしかして、私の機嫌取り？
「キスしても、いい？」
驚いてさっきから声が出ない。
ジスが、私を好き？
妹としてじゃなくて？
待ち望んでいた結果なのに、なんだか
苦しい。
「…A、答えてよ」
その瞳とぶつかった。
私が知っている、優しい瞳のジスはいなくて
ここにいるのは、知らない男の人だった。
ジスがそっと私の手を掴んだ。
その手は優しくて、温かい私の大好きな手だ。
ここでジスを拒んでしまったら
私はもう一生ジスに会えない気がした。
もう、どうにでもなれ。
私は、…私はずっと、ジスの事が好きだったんだ。
さっきまで止めどなく流れていた涙は
いつしか引っ込んでいて、頷いた私に
優しく、丁寧にキスをした。
ついに私達は、きんきをおかしてしまった。
――
―
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りさ - このお話やばいです。ほんとに。もうドキドキ半端ないし、続きが読みたくて夜も眠れないです笑笑。更新頑張ってください！ (2019年7月31日 1時) (
レス) id: 2327218ebe (このIDを非表示/違反報告)
すーさん(プロフ) - 凄く好き、本当に、 (2018年6月14日 19時) (レス) id: 387114ba65 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - るうさん» るうさんはじめまして！ありがとうございます！私も心臓痛いです（笑）（笑）これからも何卒よろしくお願いします！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - ヤクさん» ありがとうございます！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - るっちさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しし氏 | 作成日時：2017年6月3日 0時
