全ては愛する人のため。

教会。 ページ28

そして、夏休みが始まった。



ジスは昨日から始まったけど私は今日から。
朝、学校が無いからってぐっすりと眠ってるジスが可愛くて写真を撮ってしまった。



それで起こしちゃったけどね。





昼まで学校行って、ハニと当分会えないねって話をして。
あ、でも8月入ったらハニと遊ぶんだ！ジスには秘密だけど！



そして、駅でジスと待ち合わせをして
向かった先は教会。





「久しぶりだね〜教会」
「そうだね、最後に来たのいつだっけ？」
「Aたちが中一の時だよ」
「あー、Aが号泣してた日だ」




平日の昼下がりの教会は誰もいなかった。





「なんか、2人だけの世界みたいー！」





2人だけの世界。
ジスとわたしだけしかいない世界。




2人で神様の前で手を合わしてお祈りする。
アメリカに住んでた頃は毎日教会に行ってたけど韓国に戻って来てからはあまり行かなくなった。




「A、こっちおいで」




久しぶりの教会に心を躍らせていたら
ジスが椅子に座って私を呼んだ。



喜んでジスの隣にくっついて
座る私を見て笑うジス。





「今から真剣な話するから
ちゃんと聞いてね」



んー、真剣な話？






「Aは僕のことが好き？」





心臓がトクッと高鳴ったのが
分かった。





「‥好きだよ？」





ジスが思ってる好きと、
わたしが思ってる好きは、





「良かった。」





、良かったって？なに‥？






いつもみたいにジスの手を
ぎゅっと握ろうと思ったけどそれはできなくて
隣にいるジスを見ることも今の私には難しかった。







好きだから、惑わすようなこと
言わないでよ。







普通のカップルだったら、
ちゅーするんだろうなって。




でも私たちはその行為はできない。
血の繋がってる、本当の双子だから。






「真剣な話って、それだけ？」




やっと、ジスの顔を見れたけど
いつもよりなんかイケメンに見えるし。






「違うよ、今から言う」




なんか、ドキドキする。






「彼女ができたんだ。初めての、彼女」








頭を鈍器で殴られたような
感覚だった。





上手く息が吸えない。





途端に目眩がして倒れそうになって
頭の中でジスが今言った言葉がグルグルと回る。






彼女？



私より、大切な女の子が
ジスにはできたの？





「喜んでくれないの？A」






あまりにも、残酷だった。




ー

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