不審者ＪＫは花粉症らしい【宮治】 (ページ21)

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20 近くて近い、そして近いページ21

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「俺も休憩しようかな」

そう言ってカランとシャーペンを机に置くすなくん。

すなくんって、なんかあれだな。大人な印象が強いな。

溢れ出る色気にやられそうになりながら見つめていると、口元を緩めてからかうような視線を向けるすなくん。

「なに、恋した？」

『してません～』

そんなハッキリ言うなよ、なんて少し口をとんがらせる。

え、なんなの？可愛いの？かっこいいの？

ハッキリしていただきたいところなんですがまあ結論かっこかわいいってことですよねわかります

これで舌ピアス空いてたらずっきゅん胸やられますぜ？校則上ダメだけどね。

『どしたのすなくん』

「すなくんってなんか遠い」

『へ？何が？』

心の中で語りながらヘラリと笑いかけると、すなくんが「呼び方」と呟いた。

あらこの子、呼び方を気にしていらっしゃったんか。

『あー……なんて呼んで欲しい？』

「特になんでもいいけど」

なんでもいいけどすなくんは嫌だと？

わがままだねかわいい。

ん～と首を傾げて、あ、と閃く。一部のバレー部ファンが言っていた気がするこの呼び名。

『スナリン！』

「 ………まあいいやそれで」

あっさり受け流すスナリンに「スナリンスナリン」と調子に乗って呼びまくっていると

「あのさ」

寝転ぶわたしの顔に近づく整った顔に思わず眉をあげる。

え、なんかお気に召さなかった感じ……？？

別にいいって言ってたじゃん…

しかも顔ちけえよ三度の飯より顔ちけえよ(？)

戸惑うわたしにさらに顔を近づけてきやがるこのチベットスナギツネ(の美化された版)

「一応俺男だけど」

『は』

言っている意味が、と反論しようとしたときに気づく。

私の本日身に纏っておるワンピース、ボタン式につき。

開けまくっていたのが裏目に出た。胸元ががっつり見える状態である。

『うわわっ…ゴメン、嫌なもの店見せ、』

「しかも男の部屋に寝転ぶって警戒心どうなってんの？」

核心をつく言葉にうっと詰まらせると、

床にダンッと手が疲れた。

顔面すれすれに置かれた右手に「ひゅ～」と口笛を鳴らしてしまう。

この期に及んで素晴らしくふざけてしまうのやめたい

「俺も男ってこと、わかってないよね」

『え、いや、あの、』

セミの声にわたしの声はかき消され

わたしとスナリンの影が重なった

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