だいきらいしぇあはうす

噂の不良 ページ2

次の日の朝。


昨日の夜は中々寝付けなくて、早く起きてしまった私は、誰もいない教室の中で溜息を吐く。


日本に残れるのは嬉しいけど、知らない人の家に住むって大変そう。



「…仲良くできるかな。」



男の子と話したことなんてないけど、住ませてもらうんだから、仲良くしないといけない。


とにかく頑張ろう、自信ないけど…。


その時だ。



「……珍しいな、こんな時間に誰かいるなんて。」



「…っ!!」



教室のドアが開いて、1人の男子生徒が入って来た。


彼を見た瞬間、私は背筋に何か冷たいものが触れたような感覚に襲われる。


ガーゼが貼られた白い頰、寝癖がついた無造作の黒髪に切れ長の目…この学校で、彼のことを知らない人なんていない。



「桐ヶ谷…君。」



「………。」



【桐ヶ谷 千影】、学校1の問題児。


なぜかいつも怪我をしていて、“他校の生徒と喧嘩をした”とか、“不良グループを壊滅に追い込んだ”とか、悪い噂が絶えない。



「………。」



ジッと切れ長の目でこちらを見つめてくる桐ヶ谷君…目を逸らしちゃいけない気がしたけど、怖くなった私は思わず目を伏せてしまった。



「チッ…ふざけんじゃねぇよ。」



そう言うと、彼はそのまま教室を出て行ってしまう…私何かした…?

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