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[Epi.2] 卵焼き ページ4

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親友の彩月と中庭で昼食をとることになった。
今日のお弁当は珍しく早起きして自分で作った。


まあ、だからと言ってどうということは無いけど。


彩月は購買へ食料調達に行ってしまった。

購買はいつも混んでるし、戻って来るまで結構時間掛かりそう・・・。


そんなことを考えつつ、先に食べてていいよ!と言われたのでお言葉に甘えてチビチビと食べ始めていた。


「あ、万里」


万里を見つけた私は思わず、声に出してしまった。


「Aじゃん」


そんなに大きな声じゃなかったのに、気付いてくれた万里がこちらに寄ってくる。


「ひとり?」


そう聞かれて、「親友は購買行ってる」と返す。

ふーん、と興味無さ気な返事をしつつも、しれっと私の隣に座る万里。


「それ、美味そう」


それ、と万里が指差すのは私のお弁当箱に収まっている卵焼き。


「いる?」


聞いてみれば、素直に頷く万里。


「どーぞ」


お弁当を差し出せば、は?みたいな顔をしてくる万里。


・・・は?


「あーん」


あーん・・・なんて言ってるぞこのヤンキー。


「食べさせて」


どうしようかと固まっていれば、万里がそう言ってくる。


「はやく」


はいはい、わかりましたよ、あーんしたらいいんですね!!!


恥ずかしさでやけくそになった私はフォークに卵焼きをぶっ刺して万里の口元に持っていく。


ぱくっとそれを口に入れた万里はもぐもぐする。


「これ、Aが作った?」

「え、うん。美味しくない?」


不安になってそう聞けば、


「めっちゃうまい」


と返ってきて安堵する。

そして、この笑顔である。

眩しい。


「よかった」


つい、笑顔を返してしまう。



「ばーんりーーーどこーーー」


と少し遠くから万里を呼ぶ声。


「万里、呼ばれてる」

「チッ・・・空気読めよ」


そうボソッと呟いた万里が立ち上がる。


「ごちそーさん」


そう言って万里は、私の頭をわしゃわしゃしてから去っていった。


どうしてあの人はわしゃわしゃして来るんだろう。ぽんぽんくらいなら髪もぼさぼさにならないのに・・・。


なんて照れ隠しのような事を考えながら、自分の顔が赤いのを自覚する。


手で顔を扇ぎつつ、彩月の帰りを待った。




❀[Epi.2] 卵焼き❀完



.

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くらま(プロフ) - あんどーなつさん» ありがとうございます!本当に更新が遅くて沢山お待たせしてしまったと思いますがそう言っていただけて凄く嬉しいです! (2018年3月14日 15時) (レス) id: b9c44cb45d (このIDを非表示/違反報告)
あんどーなつ(プロフ) - ↓つづき 陰ながら、これからも応援いたしますので、ご活躍期待しております (2018年3月13日 22時) (レス) id: 3835216a12 (このIDを非表示/違反報告)
あんどーなつ(プロフ) - 初めまして!本編完結おめでとうございます!毎日毎日、まだかなまだかなと週3を楽しみにしてました!番外編も読ませていただいてます。自分も化学室の机に落書きしたなぁっと思い出しながら、あー。こんな青春したかったなぁなんて、思いながら、読んでおりました笑 (2018年3月13日 22時) (レス) id: 3835216a12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらま | 作成日時:2018年1月28日 21時

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